基準地価、仙台は上昇基調維持 東北の商業地マイナスに

国土交通省が29日発表した都道府県地価(基準地価)は新型コロナウイルスによる経済活動の停滞、訪日客の激減などで回復基調の流れが4~6月に鈍り、東北6県の平均も商業地で前年の0.1%増からマイナスに反転、0.6%下落となった。仙台市はJR仙台駅や地下鉄各駅の周辺でマンションやオフィス需要が続き、住宅地、商業地ともに前年比プラスを維持した。
 東北の住宅地の平均地価は、前年比0.8%の下落で22年連続のマイナス。コロナ禍がやや響き、下げ幅は0.3ポイント広がった。縮小傾向にあった下げ幅が拡大したのは9年ぶり。各県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。
 宮城県は仙台市のベッドタウンの名取、多賀城、岩沼、富谷4市と利府、大和2町の需要が住宅地、商業地とも堅調に推移した。仙台圏が県全体を押し上げ、2013年以降続くプラスを保った。県の商業地の上昇率は全国2位だったが、県、仙台市とも上げ幅はいずれも縮小した。
 福島県は、東京電力福島第1原発事故に伴う移転需要が収束した。さらに、昨年10月の台風19号豪雨により郡山、伊達、須賀川3市の阿武隈川沿いなどで甚大な被害が出たため住宅地は7年ぶり、商業地は6年ぶりに下落に転じた。
 高齢化率が全国トップクラスの秋田県は前年、下落幅が住宅地と商業地でいずれも国内で唯一、2%を超えていた。今回は住宅地がマイナス1.8%にやや改善し、商業地は横ばいだった。値ごろ感や市街地の再開発事業で需要が続く秋田市がけん引役となった。
 青森、岩手、山形各県はいずれも下落したが、下げ幅は山形が住宅地、商業地ともに横ばい。青森、岩手はわずかに広がった。原発事故で帰還困難区域に指定された福島県内の12地点は調査を休止している。

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