国土交通省が20日に発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比プラス0・3%となり、3年ぶりに上昇に転じた。住宅地はプラス0・1%と、バブル景気が終わった1991年以来31年ぶりの上昇となった。商業地もプラス0・5%に転じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた落ち込みからの回復が鮮明になった。 【ランキング】地価上昇率、上位5は北海道が独占 コロナ禍で続いた行動制限の緩和などで経済活動の正常化が進み、住宅・商業地ともに需要が戻った。 住宅地は、14都道府県で変動率がプラスとなり、2021年から7府県増えた。3大都市圏の上昇率はプラス1・0%。前年マイナスだった大阪圏がプラスに転じたほか、東京圏、名古屋圏は上昇率が拡大した。コロナ禍で人気が高まった郊外だけでなく、生活に便利な都心の需要も高まった。 地方はマイナス0・2%と前年から下落幅が0・5ポイント縮小した。なかでも、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)はプラス6・6%と大きく上昇。再開発による新たな宅地造成などが押し上げた。 商業地も、上昇した都道府県が前年の6から18に増えた。3大都市圏がそろって上昇したほか、地方の変動率もマイナス0・1%と前年(マイナス0・7%)から改善した。個人消費の持ち直しで繁華街の店舗需要が回復したほか、人出が戻った観光地も上昇した。 住宅地、商業地ともに上昇率が最も高かったのは北海道北広島市。23年開業予定で建設が進む新球場を含む複合施設「北海道ボールパークFビレッジ」の影響で、大幅に上昇した。 最高価格は17年連続で東京都中央区の「明治屋銀座ビル」で、1平方メートル当たり3930万円だった。【井川諒太郎】