堅実な若者層に刺さり、1カ月で6万8000件超の契約!明治安田生命の戦略とは

貯蓄性商品「じぶんの積立」、SNSで集客し対面で契約

 明治安田生命保険が10月に発売した若年層向けの貯蓄性商品「じぶんの積立」の販売が好調だ。発売1カ月で6万8000件超と年間計画の半数以上を記録。低金利が続く中、解約時の払戻率が常に100%以上の特性が若年層の貯蓄ニーズを捉えた。ただ、商品単体の収益性は低いため、今後は主力商品の契約へどれだけつなげることができるかが問われる。

明治安田生命は、若年層対策の新ブランドとして、「かんたん保険シリーズライト」を開発。10月に積み立て型や終身型など3商品を発売し、このうち、積み立て型の販売が好調だ。

積み立て型の特徴は5000円から積み立てできる手軽さと、払戻率が常に100%以上、10年後の満期時には103%の受け取りになる点にある。国内で超低金利が続く中、まずは「貯蓄目的で保険に手軽に加入したい」という20―30代のニーズ開拓に成功した。

商品開発の狙いは若年層との接点強化だ。近年、企業のセキュリティー強化によって、営業職員がオフィス内で新入社員向けに営業をすることは難しくなっている。このため、若年層との接点をいかに創出するか、業界各社は頭を悩ましてきた。

若年層対策では、複数の保険商品を扱う乗り合い型代理店に低価格の簡易商品を供給し、若年層の取り込みを図るケースが多い。ただ、明治安田生命は会員制情報交流サイト(SNS)で募集し、最後は営業職員による対面で契約を結ぶ独自手法にこだわってきた。

当初、職員を介する販売モデルに他社は疑問符を付けていた。ただ、6万8000件を超える契約のうち、新規が4万3150件と全体の約63%を占めたことをみると、現状では出足好調のようだ。

もっとも、運用面からみると単純に喜べない事情はある。日銀による低金利政策が長期化し、国債でほとんど利回りが確保できない中、生保各社の資産運用は苦戦が続いている。

この状況下で払戻率が常に100%以上というのはある意味、出血大サービス。実際、この商品単体では収益性が低いため、商品化にあたっては社内で反対意見も根強かったという。

SNSで募集し、営業職員による対面で契約するモデルをいかに成功させるか。その指標は小口商品を皮切りに、主力商品の契約にどれだけ結び付けたかの実績で測られる。6万件以上もの契約から成功事例をいかに作り出せるか、今後は対面による営業力の真価が問われる。

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