塩害被災地のバラの実でお茶 高校生開発

宮城農高(宮城県名取市)の生徒が耐塩性のあるバラの実を使ったお茶を開発した。塩害が残る東日本大震災の被災地でも栽培可能で、被災農家の6次産業化にも一役買おうと商品化にこぎ着けた。
製品化したのは「宮農産バラの果実茶」。ティーバッグ式で、5個入り200円。手始めに9日に名取市役所前広場で開かれる「なとり春まつり」で販売する。当日は100セットを用意し、試飲や苗木の展示も予定する。
使用したバラは1999年、中国・貴州省から県内に伝わった「刺梨(ツーリー)」と呼ばれる品種。お茶100ミリリットル当たりのビタミンCがレモン7.5個分、ポリフェノールが緑茶の約3倍含まれ、一般的なバラよりも含有成分が多い。さわやかな酸味が特徴だ。
昨年5~8月に花を咲かせ、花弁の中心にある実を9月に収穫。今月に入り、冷凍していた実をフリーズドライした後に粉砕し、ティーバッグに詰めた。商品パッケージも自作した。
バラに着目したのは、津波が押し寄せた沿岸部でも生き残ったバラが花を咲かせたことを聞いたためという。「花で人の心を和ませよう」と科学部顧問の教諭が自宅で栽培していたツーリーを紹介。実験を繰り返して耐塩性や含有成分を確認するなどし、商品化するめどが立った。
科学部復興プロジェクトチームで、副部長の3年郷内拓海さん(17)は「いろいろ苦労して、やっとお茶が完成した。沿岸部の塩の強い場所でも育つ品種なので、加工して地域の人たちに飲んでもらい元気になってほしい」と販売を心待ちにしている。

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