塩釜市で空き家活用へ鑑定士育成 高齢者活躍の場にも

少子高齢化で深刻さを増す空き家の利活用を促すとともに高齢者の活躍の場を広げようと、塩釜市シルバー人材センターが民間資格「木造空き家鑑定士(古民家簡易鑑定士)」を持つ会員の育成に乗り出した。全国古民家再生協会(東京)の協力を得て、講習会と試験を11日に同市で実施。会員ら5人が合格基準を満たし、東北初の鑑定士が誕生する見通しだ。
 木造空き家鑑定士は、空き家所有者の依頼を受け、20項目の簡易鑑定を行う。状態に応じて(1)解体(2)修繕後の活用(3)流通活用-のいずれかを勧める鑑定書をまとめ、家屋に使われている構造部材の評価額も提示。所有者の判断に生かしてもらう。
 講習会は全国古民家再生協会宮城第一支部の藤木武人支部長が講師を務め、雨漏りの見分け方や方角による傷み方の違いなど留意すべき点を説明。「歩くと床が沈む場合はシロアリ被害の可能性がある」「水回りも重要」などと指摘した。
 受講後に筆記試験を受けた5人は合格基準を全員クリア。協会事務局で2017年に制度を始めた住まい教育推進協会(東京)が認定すれば、資格を取得できる。受験した塩釜市の無職小松幸雄さん(76)は「市内でも空き家が増えている。社会貢献だと思い挑戦した」と語った。
 受験者はこの後、市内にある大正期に建てられた旧亀井邸を訪れ、実地研修をした。
 市シルバー人材センターの菊田芳弘事務局長は「空き家の再生は全国で広がっている。会員が鑑定した空き家が利活用されれば、障子貼りなどセンターの仕事も増え、高齢者の社会参加に生かせる」と期待する。
 塩釜市も22日に空き家バンク制度を始める予定。

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