登下校中に子どもが事件・事故に巻き込まれるケースが相次ぎ、塾や習い事の行き帰りに不安が募る中、送迎を代行するサービスが注目を集めている。「子育てタクシー」事業を展開する全国子育てタクシー協会(横浜市)には130を超える社が加盟。兵庫県内では4月、第一交通産業グループ(本社・北九州市)が「子どもサポートタクシー」の運行を始めた。行き先を登録し、乗車から到着、帰宅まで乗務員が確認。こうしたサービスは全国的に広がっており、送迎に時間を割くのが難しい共働き世帯などに好評という。(広畑千春)
子どもサポートタクシーは3歳から12歳までを対象に、神戸市や阪神地域にある3社4営業所で4月から運行。姫路市や相生市のグループ会社でも計画を進める。子どもの名前や送迎先などを事前に登録し、専用電話に配車を依頼する。「子どもサポートタクシー」のステッカーを貼ったタクシーが、家や学校・保育園などまで迎えに行き、行き先まで送り届けてくれる。24時間365日対応だ。
同社は16年4月から子どもサポートタクシーを北九州市などで運行してきた。兵庫県内では、無事故などの規定を満たし、応急手当ての講習を受けた運転手約120人が担当。依頼主に確認してもらえるよう、運転手は顔写真入りの認定証を首から下げる。
また、2時間の「子育てシッター養成講座」を受け、子どもへの対応も学んだ。担当運転手の久保田正次朗さん(43)は「子どもが安心して利用できるよう、自然な振る舞いを心掛けたい」と話す。
全国子育てタクシー協会は、子育て支援団体とタクシー会社が2006年に設立した。今年3月末現在、全国30都道府県の137社が加盟。「子育てタクシー」を商標登録し、子どもの送迎代行などのサービスを展開する。
共働き世帯が増え、子どもが1人でいるときに事件に巻き込まれたり、登下校中に事故に遭ったりすることへの不安もあって、子育てタクシーは各地に拡大。09年に820人だった「子育てドライバー」は、現在、約1700人に上る。
兵庫県内に同協会の加盟社はないが、第一交通産業グループのほかにも、近畿タクシー(神戸市長田区)が、かつて行っていたサービス「安心かえる号」(休止中)について「要望があれば再開させたい」としている。