増税、「景気減速68%」 懸念拡大 東北・企業アンケート

消費税率引き上げに伴い、東北に本社を置く主要企業の約7割が景気減速を予想していることが2日、河北新報社のアンケートで分かった。東日本大震災からの回復基調に冷や水を浴びせるとの不安が広がっている。
 景気への影響について、「大きく減速」「ある程度減速」と答えた企業は計68.8%に上った。「それほど減速しない」は19.6%だった。「減速」と回答した割合は商社、百貨店・スーパー、サービス・情報で7割を超えた。
 業績に影響する期間は「3~4カ月」が32.1%で最も多く、「半年程度」は17.0%、「1年程度」は10.7%だった。約2割が「分からない」と答えた。
 増税で心配されることを複数回答で聞いたところ、全体の34.8%が「物販や入り込み客数の極端な減少」と答え、反動減への危機感が際立った。2割弱の企業が「価格表示をめぐる販売現場の混乱」「納入先の価格転嫁拒否」「高額商品・サービス不振」などを不安材料とした。
 現在困っていること(複数回答)は、全体の38.4%が「原材料の不足、高騰」を挙げ、食品・外食では9割を超えた。「労働力不足」は運輸、建設を中心に35.7%。「原発事故などによる風評被害」と答えた14社(12.5%)のうち13社を被災3県が占めた。
 電力料金引き上げによる収支への影響は「大きく悪化」「多少の悪影響」が計67.0%に達し、機械類など製造業全体では8割近くに及んだ。
 アンケートは東北の上場企業など128社を対象に3月上旬から下旬にかけて郵送で行い、112社から回答を得た。回答率は87.5%。
◎震災前業績「回復75%」/賃上げに半数が前向き
 河北新報社のアンケートで、東北に本社を置く主要企業の4分の3が震災前と同等以上の売り上げに達していると回答した。全体の5割がベースアップ(ベア)を含む賃上げに前向きな姿勢を見せた。
 震災前との売り上げ比較では「上回っている」が41.1%を占め、「同等」と合わせ75.0%を占めた。震災前の7割未満の企業はゼロで、震災後の企業業績の回復ぶりがうかがえた。
 「大幅」を含め「上回っている」と答えた割合を業種別で見ると、百貨店・スーパーが71.4%、専門店・小売りが66.7%と流通関連が引っ張った。被災3県では、福島(75.0%)と宮城(46.9%)が高く、岩手も31.3%を占めた。
 賃上げでは「ベア実施」「一時金増額」の合計は35.7%。「その他何らかの方法」を含むと50.1%が前向きで、「行わない」の9.8%を大きく上回った。
 「ベア実施」の割合は、建設・住宅で42.9%、機械類などの製造業全体で34.8%、百貨店・スーパーで28.6%など。金融機関(5.6%)やサービス・情報(0%)との差が目立った。一方、「定期昇給のみ」が3割近くあり、賃上げの裾野拡大には時間がかかりそうだ。
 半年前との業況比較は「改善」「やや改善」を合わせ46.4%。「横ばい」の42.0%を上回った。2013年度の決算見通しでは全体の60.7%が、14年度の損益見通しでは53.6%が、それぞれ増益基調と答えた。

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