8月の第103回全国高校野球選手権大会で、1回戦を勝ち上がった東北学院(宮城)の出場辞退で幻となった松商学園(長野)との試合が7日、松商学園の地元で実現した。聖地・甲子園での忘れ物を取り戻そうと、引退した両校の3年生らが交流試合形式で熱戦を繰り広げた。
打診受け快諾、両校3年生ら出場
長野県松本市の四賀球場で行われ、仙台市から訪れた東北学院の3年生18人を含む計24人と、松商学園の3年生25人が参加。爽やかな秋晴れの下、スタンドから保護者らが見守る中で午前10時に始まった。
東北学院は主戦だった伊東大夢(ひろむ)投手が0-3の二回途中から登板。四回にいったんは逆転したが、競り合いの末に4-5でサヨナラ負けした。
両校は甲子園大会の2回戦で対戦するはずだった。しかし、選手の新型コロナウイルス感染が判明した東北学院が出場を辞退し、松商学園の不戦勝となった。
こうした経緯から松商学園は10月下旬に交流試合を打診し、東北学院が快諾した。松商学園は甲子園大会の直後から構想を温めていたが、感染状況などを考慮したという。
東北学院の渡辺徹監督は「いろんな困難がある中で松商学園さんがきっかけをくださった。心から感謝したい」と言い、松商学園の足立修監督は「本来戦うべき相手で、夏に忘れ物をしてきたという思いがずっとあった。ようやく心の穴が埋まったような気持ちだ」と胸の内を明かした。
東北学院は3年生の多くが受験勉強の追い込み時期を迎え、この日の試合に参加できない生徒もいた。古沢環(たまき)前主将は「不完全燃焼の部員もいたと思う。また本気で戦う機会を頂けたことがうれしかった。3年生らしい『打ち勝つ野球』を貫くことができたと報告したい」と話した。