外出自粛でもパンク修理依頼が増加 スペアタイヤ非搭載も一因?

 走行中にタイヤがパンクした車両が日本自動車連盟(JAF)のロードサービスに応急修理を依頼する事例が、東北6県で増加傾向にあることがJAFの調査で分かった。新型コロナウイルス禍で外出自粛傾向にあった2020年度は、出動要請数が減ったにもかかわらず修理依頼は増加。JAFは「はっきりとした原因は分からない」と首をかしげる。

 JAFの調査によると、6県のパンクの応急修理依頼件数は東日本大震災前の10年度に約900件だったが、11年度から年々増え、13年度は約1800件に達した。14年度にいったん約1400件まで減ったものの15年度から再び増加に転じ、20年度は3600件を超えた。

 JAF宮城支部は「原因の一つに、スペアタイヤ非搭載車の増加があるのでは」と見る。

 東北運輸局などによると、スペアタイヤの法的な搭載義務はない。09年のエコカー減税導入などを機に軽量化による燃費向上のため、新車購入時にスペアタイヤかパンク応急修理キットの搭載を選ぶ方式が主流となり、後者を選ぶユーザーが増えたという。

 JAFのパンク関連作業の比率を見ると、スペアタイヤ交換は10年度の約8割から近年は4割台に減少。代わって応急修理と、作業可能な場所への搬送が各3割近くまで増加している=グラフ=。

 JAF宮城支部は「これという原因は特定できない」とも説明。震災後しばらくは岩手、宮城、福島3県の復旧・復興工事現場に近い沿岸部を中心に「がれきが散乱し、復興ボランティアらも被災地入りするなどして救援依頼が増加した」として、震災による環境変化も指摘する。

 それでも14年度以降は工事の進展状況とは反比例する結果が続く。同支部の担当者は「原因の分析を進めるとともに、運行前のタイヤ点検なども積極的に呼び掛けたい」と話す。

タイトルとURLをコピーしました