年末も間近となり、そろそろ本格的な海外旅行シーズン到来ですね! 海外において、日本人は一般的に「奥ゆかしい」、「礼儀正しい」と非常にポジティブなイメージが持たれていますし、東日本大震災時にもその忍耐強さやマナーの良さが各国で報道され、驚きをもって迎えられました。
しかしそんな日本人でも、海外では気付かないうちにうっかりマナー違反やタブー行為を犯してしまっているもの。
そこで今回は私がヨーロッパに住んでいて気づいた、日本人が犯しがちなタブー行為や注意すべき点をいくつか紹介したいと思います。とはいえ、海外と一括りにしてしまうと語弊が生じるので、ここでは私の住むヨーロッパを中心に欧米の事情についてお話しします。
■ジェスチャー
日本で写真を撮る際にお約束のピースサイン。しかしピースを裏返して掌を自分側に向けると、イギリスでは大変な侮辱の意味に! その昔、イギリスとフランスが戦争をしていた時代の名残で、フランス人がイギリス人アーチャーの指を切り取り、二度と弓を引けないようにしていたのがその理由なのだそう。つまりイギリスにおけるこのサインは「どうだ、まだおまえを殺せる指があるぞ! やれるもんならやってみろ」といった具合。早い話、喧嘩を売っているサインなのです。
また親指と人差し指で輪っかを作るサインは、日本ではOKやお金を示すもの。しかし私が学生時代に留学していた南米では性行為を指すサイン。うっかり使用すると危ない目に遭いかねないので、注意するよう渡航前に指導を受けたことも。
あとオーストリアやドイツでは、右手を掲げたハイル・ヒトラーの敬礼ポーズは禁忌中の禁忌。実際これをやったがための逮捕者も出ているので、旅行者と言えど知らなかったでは済まされません。公共の場では、たとえ冗談でも決してしないようにして下さい。
それと料理をオーダーするときに、なぜか中指でメニューを指さす人を何度か目にしたことがありますが、これも最悪。意味はみなさんも既にご存じでしょう。
■レディファーストでない
ヨーロッパは騎士道やジェントルマン発祥の地。したがって徹底したレディファーストが求められます。エレベータの開ボタンを押す、お店のドアを開ける、ドリンクをグラスに注ぐなどの行為は、日本では女性が進んで行うのが美徳とされていますが、こちらではすべて男性の役目。幼少のみぎりより徹底指南されているのか、小さな男の子ですら必死にドアを支えてくれるので、そのレディファーストぶりには驚かされます。逆に女性がいそいそと男性の世話を焼いてしまうと、マナーにうるさい人などは「はしたない」と感じる様子なので、ほどほどにしておきましょう。
■ファーファッション
日本では99%「可愛い!」と反応されるファーファッション。毛皮のコートに、ファー付きセーター、ふわふわのポンポンや動物のしっぽのキーホルダー。今週、アンゴラ衣類の非情な生産現場のビデオがPETA(動物愛護団体)によって公開され、日本でもニュースになっていました。しかし残酷なファー生産過程は日本では殆ど知られておらず、日本はまだまだ「毛皮=可愛い」というお気楽なファー後進国。うっかりファーづくしの出で立ちで旅行すると、動物愛護の意識が高い欧米では白眼視されたり、最悪の場合は過激団体の攻撃に遭うこともあると覚えておきましょう。
このように日本国内では何気ないしぐさや行為でも、一歩海外に出ると禁忌であったり、思わぬ事態に発展してしまうこともあるので要注意です。年末年始の海外旅行を楽しく乗り切るためにも、旅行先のタブー事項やマナー行為を事前に調査して備えましょう!
(ライジンガー 真樹)