外国人アルバイトさえこなくなった「コンビニ」は誰が働くのか?

コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんが詳細にレポートする当シリーズ。前回の「各コンビニチェーンが始めている新サービス」に続き、今回取り上げるのは、外国人アルバイトさえ集まらないと言われているほど深刻な「人手不足」を解消するためにローソンが始めた「最新技術を活用した新たな取り組み」について。コンビニ業界にとって大きな悩みの種となっている人手不足問題を解決すべく、すでに一部のコンビニで導入されているという新システムについて、日比谷さんが詳しく解説しています。

ローソンが進める人手不足対策『レジロボ』とは?

コンビニ業界のみならず、BtoCビジネスの現場で現在問題となっており、今後もますます大きな問題になりそうなのが「アルバイト不足(人手不足)」です。

コンビニ経営において、人件費は最大の経費(売上対比で約12%~15%程度)であり、経営を順調にするためにも人件費のコントロール(言い換えると抑制)が重要です。ところが、最低時給の改定による人件費のベースアップにくわえ、上記のアルバイト不足による採用コストの上昇や近隣店舗との人材獲得競争の激化によって、この人件費が高騰してきています。

以前のコラムでも外国人労働者への依存度が上昇してきていることを書きましたが、このような人材不足の傾向は変わることはなく、むしろ少子高齢化の影響で働き手がますます足りなくなることが想定されます。

● コンビニから消える「日本人アルバイト」。外国人40%の地域も

現状、各店舗のオーナーは自分やその家族でシフトを回すことでなんとかこの事態に対応していますが、コンビニ各社も手をこまねいているだけではなく、これまで培ってきたIT、システムの力を活用し人手不足に対応しようと切磋琢磨しています。

ローソンでは、「レジロボ」という新しいレジシステムを開発・導入しています。これによってレジ業務に必要な人員を削減することができ、これまで店内には最低2人のスタッフが必要だったのが、1人でも運用できるようになります。既にスーパーなどでは、お客さんが自分で商品スキャン・現金決済を行う「セルフレジ」を導入する店舗が増えてますが、この「レジロボ」も同様に大きなコスト削減効果が見込まれます。

さらにローソンでは、深夜時間帯の無人化も視野に入れています。このお店は、アプリ会員限定のお店になりそうですが、入口で会員と認識されたお客さんだけが入店でき、買い物ができるようです。

コンビニの24時間営業を中止するのは、物流の問題や深夜時間帯でしかできない作業もあり、実現することは相当困難です。しかし、このローソン方式が実現すると、従業員はレジ対応をすることなく、ひたすら他の作業を効率的に済ますことができるため、深夜時間帯のワンオペ(従業員が1人)が実現できます。

オーナー不足問題も最新技術でクリア?

いっぽうで、FCオーナー不足もここにきて表面化しています。特に深刻なのが、既存店舗の後継者問題。FCオーナーである親が、日ごろから365日働きシフト作業もこなす後ろ姿を見てきた子が、その商売を継ぐことはなかなか厳しいものがあります。

店舗運営上、店長が不在のお店ができると、オペレーションレベルの低下や不正、事故など様々な問題が発生します。そこで、複数の店舗を管理するオーナー制度を導入しつつあるのが現状です。

しかしながら、そのような制度を作っても実務が追い付いてかないのが実際のところ。離れた場所からお店の状態が確認できて、適正な指示ができる。くわえて発注も自動でできる。最新のAI技術などを活用した、そんな複数店舗管理システムが今後出てくるのではないでしょうか。

image by: M-Thanaphum / Shutterstock.com

タイトルとURLをコピーしました