外洋性の大型サメ、餌追い遠州灘接近か 静岡県西部で厳戒

今月に入り、静岡県西部の遠州灘で大型のサメとみられる魚の目撃情報が相次いでいる。沿岸部の各市は海岸付近で注意を呼び掛けるなど警戒を強め、サーファーからは不安の声が上がる。サメの専門家は「黒潮の分岐流が流入した遠州灘に、外洋性の大型サメが近づいたのでは」と分析する。

「サメを見かけたことはあるが近くで襲われたと聞いたのは初めて。自分が襲われたらと思うと怖い」。5日、磐田市の豊浜海岸でサーフィンをしていた浜松市中区の男性(55)は語った。磐田市福田の太田川河口沖約80メートルの遠州灘で3日、サーフィン中の男性(42)がサメとみられる魚に左足首をかまれ、重傷を負った。

湖西市では4日、サーファーからサメの目撃情報が寄せられた。両市はそれぞれ沿岸部にサメの目撃を知らせる看板を設置し、同報無線や防災メールなどでも注意を呼び掛けた。磐田市消防本部は沿岸部の巡視を継続。御前崎市でも、民間団体「御前崎 渚の交番」が海岸パトロールで周知を図るなど、警戒が広がる。

サメの生態に詳しい東海大海洋学部(静岡市清水区)の堀江琢准教授(44)=海洋生態学=は、3日に磐田市に現れたサメとみられる魚を外洋性の「アオザメ」「ヨシキリザメ」「ドタブカ」のいずれかの可能性が高いとみる。沖合でサメの餌になるシラスが不漁だった点に注目、「遠州灘沖の潮目(温度や塩分が異なる水がぶつかり小魚が集まる場所)に大型ザメが集まった可能性がある。個体数が急に増えたわけではない」と話す。

県西部をエリアとする日本サーフィン連盟静岡3区支部は事故を受け、サメの特徴や襲撃の防止策などをSNS(会員制交流サイト)で発信。同支部に所属する袋井市の村松弘敏さん(57)は「自分は大丈夫と思わず、海やサメに関する知識を身に付け、ルールを守って楽しんでほしい」と訴える。

静岡新聞社

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