国特別史跡多賀城跡の政庁正殿を発掘調査している宮城県多賀城跡調査研究所は4日、調査結果を発表した。正殿の本格的な調査は1963年以来約半世紀ぶりで、遺構の全体が現れるのは初めてという。
正殿は東西約23メートル、南北約12メートル。政庁の中心にあり、城跡で最も重要な施設と位置付けられている。遺構保護のためアスファルトで覆われていたが、東日本大震災で亀裂などが生じ、復旧工事に合わせて舗装を取り除いた発掘調査が行われた。
今回の調査で、柱を支える礎石の据え穴が新旧重複する形で見つかり、新しい据え穴から赤黒く焼けた土が確認された。780年に蝦夷の首長が国府多賀城を焼き打ちした「伊治公呰麻呂(これはりのきみあざまろ)の乱」のものとみられ、正殿の建物が火災に遭い、建て替えられていたことが明らかになった。
また、足場を組むための柱穴が数十個以上見られることから、869年の貞観地震の後も、正殿の修復や建て替えが行われた可能性のあることが分かった。研究所の広谷和也技師は「正殿の建物が火事や地震の影響を受けていたと考えられる」と説明する。
研究所は6日午前10時半から一般向けに現地説明会を開く。7、9、10、11日の午後2時からも職員が立ち会い現地を公開する。連絡先は研究所090(3642)0324。