多賀城跡 歴史観光資源へ 整備計画まとまる

宮城県県多賀城跡調査研究所(多賀城市)は、2024年に創建1300年を迎える国特別史跡多賀城跡の整備基本計画を策定した。多賀城跡が持つ歴史的な意義を学びながら、緑豊かな自然環境の散策を楽しめる一帯の整備を目指す。
計画は整備の基本方針として、(1)確実な保護と継承(2)来訪者が楽しめる空間の創出(3)自然環境との共存(4)文化的活動ができる環境整備(5)まちづくりとの連携(6)歴史的観光資源を目指す-の6項目を掲げた。
多賀城中軸部の政庁跡や南門跡の周辺から優先的に整備を進め、24年の完成と公開を目指す。県は政庁南面地区、多賀城市は南門、南辺東の両地区を担当する予定。
正門に当たる南門は古代の技法を用い、高さ13メートルを超える瓦ぶきの二重屋根で復元する。両脇に高さ4メートルの築地塀を復元し、城外から南門に向かう幅18メートルの南北大路も設ける。いずれも最も繁栄した奈良時代後半の姿を再現する。
南門東側には史跡の広大さを実感できるよう、復元ではない別の手法で、長さ100メートルにわたり築地塀を立体的に表示する。政庁南面地区は奈良時代に湿地だった「鴻の池」の景観を再現し、湿地性の樹木を植えて散策路とする。
南門南側には、見学者向けに史跡を紹介したり情報提供したりするガイダンス施設を設置。イベント開催の可能な広場と駐車場も用意する。
多賀城には陸奥国府が置かれ、古代東北地方の政治的・軍事的中心だった。県教委が1969年から発掘調査を継続している。
今回の「多賀城跡附(つけたり)寺跡整備基本計画」策定に向け、同研究所は2013年度から調査や資料収集を開始。14年度に策定に入り、意見公募も実施した。県と多賀城市は近く、周辺住民を対象に説明会を開く。

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