夢の世界 気分はジョバンニ SL銀河、来月運行

40年の眠りから覚め、蒸気機関車「SL銀河」がJR釜石線によみがえる。4月12日の運行開始を前に報道機関向けの試乗会が2日あり、一足早く乗車体験した。(盛岡総局・斉藤隼人)
 客車に乗り込むと、木製の赤い座席が目に入った。網棚の壁にはステンドグラスがあり、通路は赤じゅうたん。日常と離れた光景に胸が高まる。
 「ポー」。午前11時、釜石駅。発車を知らせる汽笛が響く。揺れは小さく、快適だ。10分ほどで、仙人峠に向かう緩い上り坂が始まった。「昭和」を駆け抜けたSLは、また走れる喜びを感じるように力強く進む。
 窓を開けると機関車がはき出す蒸気が入ってきた。苦しくなく、不思議と安らぐような匂いだ。
 平均時速は45キロ。車窓を流れる田園、山並み。風景をのんびりと眺める。季節が変われば新緑や紅葉も楽しめそうだ。
 車内には宮沢賢治関連の雑貨など数十点の展示スペースがあるほか、1号車には小型プラネタリウムを備えている。
 出発から約1時間40分。遠野駅に着いた。「次はどんなふうに楽しもう」。列車を後にしても、夢想は尽きなかった。

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