“大きく心が揺さぶられた…” 観光地としての広島、海外で人気に 訪問数はアメリカがトップ

 広島が近年、外国人観光客からの人気を集めている。米CNNによると、2012年の観光客は36万3000人。日本人以外では1位アメリカ、2位オーストラリア、3位中国の順で観光客が訪れているという。2013年の広島平和記念資料館を訪れた外国人観光客は20万人を記録した。日本人なら知らない者はいない広島。その観光地としての魅力を見つめてみたい。
【「平和」を考える地、広島】
 旅行口コミサイト、トリップアドバイザーによると、広島平和記念資料館が「外国人に人気の日本の観光スポット」ランキングで2012年、2013年と2年連続1位になっている。また今年の「お勧め日本の観光地トップ20」では広島平和記念資料館が第2位となった。
 円安、インターネット等による口コミでの人気の広がりがその主な理由ではないかとの分析がある。しかし、その一方で広島を語る時に忘れてはならないコンセプトは「平和」であると、広島市の観光促進団体の関係者は語る。「広島を訪れた人は皆、平和の尊さを感じて帰る」といい、事実広島を訪れた米国人グラフィックデザイナーは「広島は楽しい思い出が作れる観光地ではないが、多くのことを学ぶことのできる、重要な場所だ」との声を米CNNは紹介している。
【広島平和記念資料館・原爆ドーム】
 昭和30年、恒久平和を祈念する施設として平和公園の一角に広島平和記念資料館が開館した。ここには原爆に関連する数多くの資料が展示されている。3歳の子供が家の前で三輪車に乗って遊んでいたところに原爆がさく裂、子供と共に焼け焦げた三輪車。子供の着ていた引き裂かれた洋服。原爆の光線によって人影が残ったコンクリート。その他原爆の写真、ドキュメンタリー映画、被爆者が描いた原爆の絵、被爆者の体験等。
 また、ユネスコの世界遺産となった原爆ドームの前では人々は平和への祈りをささげるという。広島平和記念資料館の職員は「この記念館は世界に原爆の事実を伝え、核兵器廃絶、世界平和の実現を世界に訴えるために作られたものだ」と述べ、これらの場所を訪れて初めて戦争・原爆の恐ろしさ、悲惨さを現実のものとして感じる人は多いという。
【外国人観光客の声】
 トリップアドバイザーの広島平和記念資料館および原爆ドームのページには、外国人観光客から非常に多数の声が寄せられている。下記にその一部を紹介する。
 ・アメリカ人として広島を訪れたことは、本当に重要な経験だった。被爆者の話を聞き、原爆ドームを見て、大きく心が揺さぶられた。戦争は政府が始めたものだが、最も苦しんだのは国民だ。
・戦争について書籍で読んでも、それが現実のものとなるのは、広島へ来た時だ。亡くなった子供の引き裂かれた洋服、熱で溶けたガラス・・・戦争に正邪の区別はない。戦争はすべて悪だ。戦争終結のために原爆を使用したといわれているが、それはすべて誤りだ。すべての人がここへ来てそれを学ぶべきだ。
・初夏の早朝に原爆ドームの前に立つと、新緑の息吹とは対照的な、戦争の恐怖・悲しみをより一層感じるだろう。
・夜にドームの周辺を歩いたが、ぞっとするほど不気味だった。すべてが静寂に包まれていた。

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