社会生活を送るのには、暗黙のルールや仕事上で細かなチェックが必要だったりと発達障害の人が苦手とする分野があります。注意しているのに困難な場合は、発達障害かもしれません。まずは、セルフチェックを行ってみましょう。
社会に出てから気づく 大人の発達障害
一般的に、発達障害は幼少期に診断されることが多く、100人に1人の割合で起こると言われる脳機能障害のひとつです。それが近年では、大人になってから発達障害と診断される人も多くなっています。こういった人は、知的障害をともなわないことが多く、軽度のため、まわりも本人も気づかなかったことが要因のひとつ。仕事を始めるなど社会に出てから、集中できない、注意していてもミスをしてしまうなどのために発達障害を疑って病院を受診し、診断されるというケースです。
また、コミュニケーションや対人関係が苦手な障害を持つ人が接客業についているなど、その人の特性に合わない仕事をしているため、強いストレスを感じている場合もあります。自分の特性を知り、その苦手分野が重要でない仕事を選べば、普通に仕事ができるのはもちろん、自分の得意分野の能力を生かすことができます。また、職業を変えなくても、同僚や上司に発達障害の人がわかりやすい指示や会話の仕方にしてもらうことで、スムーズに作業ができるようになる場合もあります。
発達障害は、本人の性格や努力不足ではなく、生まれつきの脳機能の障害です。社会生活において困難なことがある場合は、支援を受けたり、まわりに発達障害であることを理解してもらうことで、よりよい生活環境を築けるようになります。
セルフチェックで自分の苦手分野を見つけて
発達障害の診断は難しいため、専門の病院に何度か通うなど時間が必要です。「私、発達障害かも?」と不安がある人は、まず下のチェックリストを行ってみましょう。自分の苦手分野が明確になります。
1、約束を忘れやすい
2、長時間座っているのが苦手
3、仕事のツメがあまい
4、不注意によるミスが多い
5、単純作業が苦手
6、1対1で話しているのに会話に集中できない
7、よく物を置き忘れたり、無くしたりする
8、雑音で気が散ってしまうことがよくある
9、落ち着かない、ソワソワすることがよくある
10、時間に余裕があってもリラックスできない
11、一方的にしゃべりすぎてしまう
12、相手の会話をさえぎってしまう
13、順番待ちをするのが苦手
14、慣れていない場所はかなり緊張する
15、あいまいな表現の会話が理解できない
これらのチェックリストにある項目は、一般的には努力や注意をすればできるもの。発達障害の人の場合は、やろうと思ってもできないのです。発達障害と気づかずに、そのまま生活を続けると「自分は仕事ができない」と自己嫌悪に陥り、うつ病などの二次障害が発生することにもなりかねません。半数以上当てはまったり、特に気になる項目がある人は、まわりの人に相談をするのはもちろん、地域の相談センターや専門医に相談をしてみましょう。
執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと