宮城県塩釜市の浦戸諸島・寒風沢島で、東日本大震災の津波で運ばれたとみられる大型こけしが見つかり、話題となっている。プロパンガスのボンベを胴体に使って、きれいに絵付けされていることから、専門家が商店などのディスプレー用に作製した可能性がある。島民は「震災前は大切にされていた物かもしれない」と持ち主への返還を希望している。
こけしは高さ約150センチ、胴体の直径は約30センチ。自作した頭部をガスボンベの胴体と組み合わせたと考えられる。海水に漬かったためか一部に腐食が見られるが、工芸品のようにしっかりと絵付けされている。
こけしが発見されたのは昨年夏。島民が島南西部の前浜海水浴場を訪れたところ、1960年のチリ地震津波を受け、76年に建立された石碑の台座の上に置かれていた。石碑は震災の津波で台座の約6メートル先に倒れていたという。
島民はそれまで、住宅地のがれき撤去などに追われ、誰もこけしの存在に気付かなかった。復興支援でボランティアが島を訪れていたことから、ボランティアが浜でこけしを拾い、台座に置いたとも考えられる。
島民は今春になり、島内で復旧工事を行う建設業者の手を借りて石碑を修復。こけしはこの際に台座から下ろし、今も台座の脇に置いてある。
塩釜市浦戸寒風沢区長の島津功さん(71)は「宮城県松島町など、海沿いの商店が飾っていた物が津波で流されたのではないか」と推測。「持ち主が気に掛けているかもしれない。何とか返してあげたい」と話している。
連絡先は塩釜市浦戸諸島開発総合センター022(369)2240。