武蔵野大(東京)の1年生が参加する「世界農業遺産大崎耕土エコツアー」が大崎市で行われている。伝統的な農業や生物多様性といった大崎耕土の価値を体感し、国連の持続可能な開発目標の理念に合致した「日本型SDGs」のモデルを学ぶ狙いがある。
武蔵野大が1年次の必修科目「フィールド・スタディーズ」として各地で実施するプログラムの一環。みやぎ大崎観光公社が企画したツアーは4泊5日で、5~9日、12~16日に学生各19人が参加する。
5日は大崎市職員から大崎耕土の歴史や特徴を聞いた後、大和田順子同志社大教授の指導でワークショップを実施。SDGsの17の目標に照らし合わせ「屋敷林『居久根(いぐね)』は持続可能な農業、生態系の保護につながる」「水管理システムは災害に対する強靱(きょうじん)化に合致する」などと話し合った。
グローバル学部の藤田あみさん(19)は「自然と関わる機会がなく、環境や共生って何かを考えたくて大崎市のツアーを選んだ。生産者の連携など人のつながりを学びたい」と話した。
2日目は同市古川の斎藤幸子さん(82)宅の居久根や、ラムサール条約登録湿地の化女沼などを見て回った。かんがい施設や再生可能エネルギー関連施設の見学、地域の食や湯治文化の体験もあった。
大崎市は本年度、内閣府の「SDGs未来都市」に選定され、農業遺産ツーリズムなどを通じた農業、環境価値の向上、交流人口の拡大などに力を入れる。伊藤康志市長は「大崎のいいところをたくさん見つけてもらい、今回の縁をつないで何度も訪れてほしい」と歓迎する。