大成功する「広告代理店との付き合い方」

ネットでモノを売る効果的な方法を本音で大公開
 この連載の目的はたった1つ。
 あなたのネットマーケティングを大成功させること。
 本日からこの「日経ビジネスオンライン」に執筆させていただくことになった。
 世の中には「ネットマーケティング」をテーマにした記事が腐るほどある。ただし、ほとんどが同じ内容だ。「ネットマーケティング」に関する記事のほとんどが特定のネットビジネスの“市場規模”についてだったり、“次世代マーケティング”や“次世代テクノロジー”について、最近でいえば「Twitterマーケティング」や「Facebookマーケティング」などなど、バズワードに過ぎないキレイゴトを並べた広告業界向けの内輪の記事ばかりだ。
 しかし企業の経営者にとっては、ネットの市場動向やトレンドやテクノロジーについて知るよりも、「どうやったらネット広告の費用対効果を上げることができるか」「どうやったらネット広告で商品やサービスを売ることができるか」を知ることの方が重要である。どんな時代になっても、広告の本質は“売ること”である。特にネットは“売りに直結”できるメディアだということが一番の特徴である。
 なので、この連載に関しては、キレイゴトなどは一切語らず、ズバリ「“売れる”ネット広告」について“実践的”に書くつもりである。ネット通販における「広告(集客)からCRM(引上・リピート)まで」を徹底的に語り、ネットでモノを売る全ての関係者の方が、簡単にネットでの反響を大きくして売り上げを上げるノウハウや仕組みを“本音”で大公開したい。
 私は今まであらゆる広告主から累計で“100億円”以上の広告費をお預かりして、あらゆるネット広告キャンペーンを実施してきた。失敗をして、あらゆる広告主に大損をさせた苦い経験もある。
 そして経験を重ねるごとに、その失敗から見えてくることを徹底的に改善して、現在ではあらゆる広告主に大儲けさせられる確実な「ネットマーケティングの勝利学」を身に付けている。
 自画自賛するようだが、ここ数年で私がネット広告を手がけた全ての広告主は、平均的にROAS(広告費用対効果)が4倍以上になっている。
 おそらくダイレクトマーケティング型ネット広告に特化した分野で言えば、広告業界の誰よりも経験があると自負している。ズバリ、この分野で私に敵はいない。
 ウソだと思うなら、ぜひ『加藤公一レオ』や『売れるネット広告社』でぜひ検索をしてほしいし、周りの通販関係者にぜひヒアリングしてほしい。
ダメな広告代理店と組んだらネットマーケは大失敗
 ノウハウの話をする前に、まずは最初に話したいのが『広告代理店』の扱いについてだ。ネットマーケティング(特にネット通販)を成功させるためにまず重要なのは、パートナーとなる『広告代理店』の扱いである。
 世の中の多くの経営者(社長)は、とにかく自社の商品に自信がある。愛着もある。とにかく目立つところに広告を出して、多くの人が見てくれれば“売れる”と信じている。
 そして、広告代理店の言われるがままになけなしのお金を支払い、広告を投下してみるが、レスポンスがほとんど無い、売り上げが上がらない、費用対効果も最悪……という状態になってしまう。
 なぜこういうことが起きてしまうのか?
その理由はズバリ、
 「広告代理店で働く人間の90%以上が、商品を売るプロではない」から。
 別に大袈裟に言っているわけではない。今でこそ「広告=商品を売るため」という風潮があるが、広告業界の過去50年間は主に「イメージ広告作り」で成り立ってきた業界である。テレビなどマスメディア使った商品認知とイメージづくり、つまり記憶をともなう意識変容をメインとしてきたわけだ。そんな中で商品を売るプロ、つまりはネット通販を成功させられるようなダイレクトマーケッターは、広告代理店の中でほとんどいないのが現状だ。
 さらに広告代理店は広告主にいかに多くの広告費をつぎ込んでもらうかによって売り上げが決まるわけだから、テレビだの新聞だのネットだの媒体(広告枠)をどんどん提案するプロなのである。
 もっというと、
 「広告代理店で働く人間の90%以上が、広告の費用対効果を考えたことがない」から。
 まさかと思っているかもしれない。でもためしに身近な広告代理店に「ご提案の広告をやったら、ウチの売り上げはどれぐらい伸びるの?」とぜひ聞きいてみるといい。彼らの多くは押しなべて「どちらかというと、広告は商品を直接売るもんじゃないんですよ~。よい認知とイメージを作って、御社の販促をバックアップするんですよ~」と答えるでしょう……。
 それに対し、「では、その認知とイメージではいつ、どんなふうに、いくらの売り上げをもたらすのかを教えてもらえる?」と聞いてみるといい。間違いなくその広告代理店は“沈黙”するだろう……。
 別にその広告代理店が悪いわけではない。費用対効果を真剣に考える文化が、今までほとんど広告業界になかっただけなのだ。
 私は今まで何千人という広告マンに会ってきたが、そもそも広告代理店の社員の90%以上は“広告”の仕事を「販売業」だとは考えていない。デザイナーのほとんどは「アート」だと考え、CMプランナーのほとんどは「エンタメ」だと考え、営業のほとんどは「クリエイティブな広告」に憧れている(笑)。
 では世の中の広告代理店は全員ダメなのか?
 そんなことはない。非常に少ないが、あなたの会社の売り上げを劇的に上げてくれる素晴らしい広告代理店(広告マン)はいる!!!
 ただ、売り上げを上げることができる広告代理店の能力には、“天地の差”があるだけだ。こんな状況だからこそ、ネット通販を行う場合は、社長自らが先頭に立ち、パートナーとなる広告代理店をうまく“選定・管理・教育”をすることが重要である!
 そこで、連載1回目では、あなたが「ダメな広告代理店」に“カモ”にされないように、売り上げを上げてくれる『優秀な広告代理店』を“選定・管理・教育”できるように、『大成功する広告代理店との付き合い方』を書いた!
 ネットマーケティングを成功させたいなら、徹底的に読んでいただき、何よりも“実行”してほしい。
『大成功する広告代理店との付き合い方』
【その1】「賞狙い」に依頼するな
 広告主の売り上げよりも自分の趣味を優先している「賞狙い」のミーハーな広告代理店に依頼するな。本来広告とは商品を売るためにある“額縁”であるはずなのに、広告自身が「絵画」だと勘違いしているアマチュア広告マンは多い。広告主がどんな気持ちで広告を投下しているのかを1秒でも考えたら、悪ふざけな提案はできないはずだ。
【その2】「媒体提案」だけは最悪
 ネット専業の広告代理店に多いのだが、エクセル表で「媒体の提案」だけをする広告代理店に依頼するな。最悪の広告マンだ。ズバリ媒体を買うだけならアホでもできる。広告の費用対効果を最大化するために、クリエイティブからCRMまでの『泥臭いソリューション提案』をもってくる広告マンに依頼するべし!
【その3】ネットマーケの「最新ワード」の連呼に気をつけろ
 「ソーシャル」「アトリビューション」「DSP」「ビッグデータ」「エンゲージメント」などなどの最新バズワードを連呼する広告代理店に依頼するな。そいつらは大抵の場合、広告の基本がわかっていない新しい物好きの評論家にすぎない。目先の変化で目眩ましをかけているだけである。
【その4】「セールスマン」より「ファンドマネージャー」
 あなたの会社に媒体を売り込む不動産の「セールスマン」ような広告代理店に依頼するな。あなたの会社の投資のROIに向けて運用する証券会社の「ファンドマネージャー」のような広告代理店に依頼しよう。
【その5】広告費は「もらう」のではなく「作る」
 あなたの会社の「広告費をもらいにくる」広告代理店に依頼するな。あなたの会社を大きく成長させて「自分で自分の広告費を作ろうとする」広告代理店に依頼しよう。その広告代理店があなたの会社を儲けさせたら、広告費は自然に大きくなり、その広告代理店も儲かるのだ。
【その6】あえて“断ってくる”相手は信用できる
 例えあなたがやりたがっても、真剣に一緒に考え“断ってくる”広告代理店に依頼しよう。広告マンとして営業成績を上げるために発注をもらいたくても、「広告主のためを思って、あえて売らない判断をする」広告マンは信用できる。
【その7】大きなチームよりも1人の超優秀な営業マン
 1人の超優秀で経験を持った“営業”が担当してくれる広告代理店に依頼しよう。広告代理店が大きなチームを組んだら、あなたは安心できるかもしれない。ただし、広告の質は関わっている人数に反比例する。チームワークごっこは弊害だ。ネットや通販広告では、全てを1人で仕切るスーパースターの「ワンマン体制」の方が成功する。
【その8】明確な「目標数字」を出してもらえ
 「CPA」「引上率」「CPO」「購入単価」「購入回数」「LTV(年間購入単価)」「ROAS(広告費用対効果)」などの、明確な「目標数字」を設定する広告代理店に依頼しよう。たまに責任逃れのためにあえて設定しない広告マンがいるが、それは論外だ。広告主・広告代理店の社員全員が同じ目標を共有して一緒に考え、運営していくことが重要である。広告費の一番の無駄遣いは、目標を具体化しないことである。
【その9】広告主のお金は“自分のお金”
 『広告主のお金(広告費)を、まるで自分のお金のように考えられる』広告代理店に依頼しよう。もし“自分のお金だったら”、誰もがミスをしないために命がけでチェックをし、コストを抑えるために命がけで媒体交渉をし、レスポンスを上げるために命がけでクリエイティブ作りをする。広告マンに一番必要な能力は広告主が投資するお金の重さを分かっていることだ。
【その10】マージンを「成功報酬で」と聞いてみる
 広告代理店の実力を見分けたかったら、あなたの会社に出入りしている広告マンに「あなたが出している想定の目標を達成しなかったら、媒体マージン15%はスルーでいいですか?」「その代わり、あなたが出している想定の目標を達成したら、媒体マージンは2倍の30%とっていいですよ」とオファーをしてみよう。もしその広告マンが沈黙したら……、その広告代理店に依頼するな。もしその広告マンが喜んで乗ってきたら、その広告代理店に依頼しよう。※でも最終的にマージンは払ってあげてね♪w
【その11】経験が全て! 相手の経歴を必ずもらえ
 広告代理店を選定する時に、その広告代理店の営業/スタッフ担当に「あなたはどこの通販広告主を成功させてきましたか?」と聞いて、プロフィール(経歴)を必ずもらうようにしよう。ダイレクトマーケティングの成功経験の無い“ド素人広告マン”に任せると“大やけど”をするからだ。会社よりも担当者で選定すること。この世界は経験が全てなのだ。
【その12】その企画書、小学生でもわかる?
 広告代理店から提案される企画書が、効果があるか、効果が無いかを一瞬で見極める方法がある。
「○」= 小学生でもわかるような“シンプルな企画”だとそれは「効果あり(本物)」。
「×」 =一見頭が良さそうだけど“複雑な企画”だとそれは「効果なし(偽物)」。
 中身が無いからカッコつけて企画やプレゼンを小難しくするのだ。
【その13】カスタマイズされた企画書に“ノウハウ”はない
 広告代理店から提案される企画書が、あなたの会社だけに完全にカスタマイズされたものは、ほとんどの場合効果がない。1つひとつの広告主にカスタマイズした企画は“ノウハウ”ではない。他社の成功事例を基に「どの広告主に適用させても成功する汎用的な企画(もっというと仕組み)」を“ノウハウ”という。
【その14】顔色をうかがわせるな! 最終判断は「あなた1人」
 広告代理店から出された提案の最終判断者は「あなた1人」にしよう。広告では、広告主の責任者が明確でない「委員会体制」が一番危険。広告代理店が広告主の複数人の担当者の好みばかりを聞いて、全員にウケる広告、全員にヨイショする広告を作ると、“幕の内弁当”のようなメインディッシュのない広告になってしまい失敗する。広告は最終判断者と責任者はワンマンでいいのだ。
【その15】感性を信じるな!「スプリットランテスト」を実施せよ
 あなたの感性も広告代理店のクリエイティブディレクターの感性も信じるな。ネット広告の費用対効果を確実に最大化するには、事前に予算の約10%を使いクリエイティブの「スプリットランテスト(A/Bテスト)」をして、反応率が一番高かったクリエイティブで本番のキャンペーンに挑むこと。多くの広告主はこのテストの費用や時間を惜しんだり、広告主の社長や広告代理店のクリエイティブディレクターの感性でクリエイティブを選定するから失敗するんだ。
【その16】クリエイティブとCRMプログラムは作らせよ
 ネットで成功したいなら、最低でも広告代理店に「クリエイティブ」を作らせ、メールをベースとした「CRMプログラム」を作らせること。むしろ広告主はクリエイティブやCRMを提案しない広告代理店は出入り禁止にするべき。媒体のみを買ってあげるなんて、広告代理店に楽をさせすぎ。枠売り広告マンに価値は無い。甘やかしたらあかんで~!
【その17】欲張るな! 1社に任せよ
 媒体コストを抑えたければ、欲張らず「1社の広告代理店に任せる」べき。多くの広告主は複数の広告代理店を競争させることによりコストを抑えられると思っているが、実は1つの広告代理店にコスト交渉をさせる方が、結果的に安く抑えられるのである。他の業界と違い、媒体は“買い付け先が同じ”だということを理解しろ。
【その18】「ネットやらなきゃ!」って本当?
 広告代理店が「ネットをやらなきゃ!」と言ってきても、無理してネットに投資する必要はない。ここ10年ぐらいは広告主に「ネットをやらなきゃ!」的な空気があったのでネット広告業界は伸びてきた。でも別にネットだろうがオフラインだろうが関係なく、「効率が良いメディアが一番」なのだ。自社にとって一番効率の良いメディアに投資しよう!
【その19】広告費使うより社員のボーナス
 日本の全広告主の社長に言いたい。もし、御社の広告関係部署や広告代理店に“広告の費用対効果(ROI)を本気で最大化”する意思や能力が無ければ、その“広告予算”を「社員のボーナス」に回すべきだ。そちらの方がよっぽど御社の未来につながる“有意義な投資”だよ。
【その20】広告の費用対効果は1年単位でチェック
 単品通販の場合、広告の目標は「CPA」だけではない。「引上率」「CPO」「購入単価」「購入回数」「LTV(年間購入単価)」を見ることはもちろん、最終的には1年後の「ROAS(広告費用対効果)」で見ないといけない。企業の決算が1年であるように、広告の決算も年単位にすると、より正確に“効果”を把握できるのである。※何度も言うが、CPAしか語れずに媒体だけを売りつけるバカ広告代理店がいれば、出入り禁止にした方が良い。
【その21】「クリエイティブ」を値切るな
 広告において、広告代理店に対して「媒体」を値切るのはまだいいが、「クリエイティブ」を値切ってはいけない。媒体を安く買えれば効果は同じだし単純にラッキーだが、“人間”が創り上げるクリエイティブを安く買おうとすると、質も効果も低い“クズ”みたいな制作物しか出てこない。
【その22】信頼できる相手を見つけたら「競合コンペ」はやめろ
 運よく売り上げを上げてくれる信頼できる広告代理店(広告マン)に出会えたら、くだらない「競合コンペ」制度をやめるべき。変な駆け引き無しに、その1社(1人)の広告代理店(広告マン)に徹底的に任せれば、彼らはきっと返してくれる。その信頼にこたえるため、責任という重圧に耐え、何が何でもその目標を達成するために、“売れる”広告のプラニングに徹底集中をする。「効果的な処方箋を書くには1対1での問診が必要なように、効果のある広告には広告主と広告マンの信頼と責任のもとで行われる必要がある」のだ。
「レオはバカ」…批判も覚悟の上!
 今回の記事で私が書いた“事実”は、おそらく広告業界ではタブーに属する。
 この記事を見て、FacebookやTwitterなどで「それは違う!」「わかっていない!」「レオはバカ」と批判してくる広告関係の人も出てくるでしょう。でも、そういう人ほど、図星でムカついているだけのダメ広告マンにすぎない。
 不謹慎かもしれないが、私は別に無理やり「広告業界」を盛り上げようとは思っていない。命がけで広告にお金を投資している広告主を儲けさせて、『広告主業界(?)』を盛り上げたいと思っている。広告主が儲かったら、自然と広告業界は元気になる!!!
 以上。皆さんは広告代理店をうまく“選定・管理・教育”できていますか? この「大成功する広告代理店との付き合い方」で実行できそうなものはありましたか? ぜひブログやFacebookやTwitterなどでご意見をお聞かせくださいw

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