小売業界で消費低迷が顕著になってきた。女性や高齢者を取り込み好調が続いていた大手コンビニエンスストアは、ローソンとファミリーマートが11日までに平成25年2月期の連結売上高予想を下方修正した。スーパーでは低価格路線で不振を乗り切ろうとする動きが出ているが、消費者の購買意欲は低下するばかりで打開策が見えていない。
11日までに出そろったコンビニ5社の24年8月中間決算は、セブン-イレブン・ジャパンなど上位3社が営業利益で過去最高を更新。生鮮食品や利益率の高いプライベートブランド(自主企画商品=PB)の販売が好調に推移した。
ただ、通期でみると偏重の兆しが顕著。24年8月期中間連結決算を同日発表したファミリーマートは、通期の売上高予想を従来の3537億円から3385億円に下方修正した。
「小売業が多様化しており、外食産業や量販店ともパイの取り合いになっている」。ファミリーマートの上田準二社長は決算会見でそう顔を曇らせた。ローソンも同様に、売上高予想を5030億円から5010億円に下方修正している。
総合スーパーも不振が目立つ。セブン&アイ・ホールディングスの24年8月中間連結決算で、イトーヨーカ堂の既存店売上高は前年同期に比べ4・3%減少。総合スーパー事業の営業利益は56%減の92億円と半減した。ダイエーの8月中間期も営業赤字に転落。既存店売上高、同客数とも4%減となった。
インターネット通販などとの競争の激化にくわえ、少子高齢化で成長が期待できない国内市場で、店ばかりが増える「異業態も巻き込んだオーバーストア(過剰店舗)状態」(ユニー幹部)となっていることが影響している。これまで堅調だった食品売り上げでさえ、「5月後半から6月ごろから冷え始めた」とセブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は話す。
購買意欲を刺激しようと、コンビニ各社はPBを強化。一部大手スーパーは低価格路線で対抗する状況になっており、小売業界は体力勝負が続いている。
■コンビニ大手5社の24年8月中間決算
売上高 営業利益 最終利益
セブン-イレブン・ 3114( 7.3) 1000( 2.7) 非公表
ジャパン
ローソン 2489( 3.7) 345( 6.1) 178(99.3)
ファミリーマート 1720( 2.7) 259( 5.3) 127(66.1)
サークルKサンクス 811(▲17.7) 122( ▲8.0) 56(74.0)
ミニストップ 633( 2.9) 37(▲24.9) 21( 9.3)
※単位:億円、カッコ内は前年同期比増減率%、▲はマイナス