「民主党嫌い」なのは分かるが、いくらなんでも、公正さに欠ける。政権発足から8カ月、「国民生活が第一」を掲げた民主党の政策は、着実に実現しはじめている。国民生活は劇的に変わりつつある。ところが、大新聞・テレビは民主党の“実績”をまったく報じないのだから、どうかしている。
たとえば4月からスタートした「高校授業料の無償化」だ。高校生を持つ家庭は、相当ラクになった。
公立高校に通っている場合は、年間11万8800円の授業料が無償になった。私学に通わせている場合は、年収によって異なるが、11万8800~23万7600円が支給される。私立高校の年間授業料の平均は35万円だから、23万円は大きい。
しかも、実際は各都道府県の独自の免除システムが上乗せされ、47都道府県のうち35県では、低所得者は「負担ゼロ」で私立高校に通わせられるようになった。これは画期的なことだ。
「これまで日本は、国による教育への支出は先進国のなかで最低レベルでした。ここ数年は、親が貧しいために、教育を受けられない子供が急増していた。08年度は経済的理由で私立校を中退した生徒は1校当たり1.63人、09年度も0.71人いました。3カ月以上学費を滞納した生徒は189校で1406人に上ります。高校無償化が導入されたことで、多くの子供たちが救われたはずです。日本は『貧富の格差』が『教育の格差』に直結しはじめていた。民主党の政策は、そうした歪みを是正しようとするもの。ありがたいと思っている親御さんが多いはずです」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
実際、教育の現場では「高校授業料の無償化」を評価する声が圧倒的だ。これまで授業料の支払いを気にしていた高校生も、勉強に集中するようになったという。
●前政権が先送りしてきた難問でも実績を上げているのに
ところが、大新聞・テレビは、こうした実態を一切報道しようとしない。連日連夜「鳩山批判」「小沢批判」を繰り返しながら、民主党の実績を黙殺するのは、いくらなんでも偏っている。
6月からは、1人1万3000円の「子ども手当」が支給される。子どもを持つ家庭はいまから楽しみにしている。
しかし、この調子では、大マスコミは「子ども手当」の実績も、ほとんど報じないのではないか。むしろ、難癖をつけかねない。こんな恣意的な報道が許されるのか。
「大新聞・テレビは、民主党の悪いところばかりを探し、わざと良いところを見ないようにしているとしか思えません。毎日新聞の調査によると民主党政権はマニフェストの85%に着手済みだそうです。ところが、大手メディアは85%ではなく、15%の方ばかり取り上げて『公約違反だ』と批判している。フェアじゃない。公平中立に見れば、民主党はそれなりに実績をあげている。水俣病、B型肝炎訴訟、JR不採用問題など、自民党政権が先送りしてきた難問にも手をつけた。少しは評価すべきでしょう」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
大新聞・テレビは、いったいどこを向いて報道しているのか。
(日刊ゲンダイ2010年5月18日掲載)