大正ロマン感じる山形・銀山温泉 観光客が増えたワケは

大正ロマンあふれる雪景色の温泉郷――山形県尾花沢市・銀山温泉が注目を浴びている。和洋折衷のレトロな旅館が、ガス灯のオレンジの光によってぼんやり照らされる……そんな幻想的な景色を見るべく、観光客が増加している。

銀山温泉は江戸時代から栄える歴史のある温泉街。1986年度にNHK朝の連続テレビ小説「おしん」のロケ地として大きな注目を浴びた。その後も山形新幹線の新庄延伸開業、「藤屋」の若おかみジニーさんのテレビCM出演などで“冬の銀山温泉”を積極的にアピールして着々と観光客を増やし、2005年度には34万人を記録した。

しかしそこで頭打ちとなり、客数は減少傾向に。東日本大震災の影響が大きかった11年度には25万5000人にまで落ち込んだ。その後は持ち直したものの、横ばいが続き、なかなかピーク時までには回復しなかった。

ところが16年度に観光客が急増し、約38万7000人が訪れた。要因は外国人観光客だ。尾花沢市商工観光課によると、「TV撮影などの外国メディア、エージェント、ブロガーなどの受け入れを積極的に行ったため、外国人観光客数は2年で約3倍に増加した」という。

銀山温泉は、Wi-Fi整備や外国人向け観光アプリへの情報掲載、2次元(QR)コードを使った音声ガイド、外国語パンフレットの作成などにチカラを入れている。一見古びた旅館でも、施設内では英語や中国語での案内が充実していることに驚く。大正レトロな街並みとは対照的に、海外からの観光客を受け入れる態勢ができているのだ。

SNSの効果も大きい。Instagramで「#銀山温泉」とハッシュタグを付けて画像を付けた書き込みは、1月24日時点で3万3000件超。多くの人が雪のちらつく夜の銀山温泉を撮影して投稿している。「#ginzanonsen」も約4000件ほどの投稿があり、「国内外の方が情報発信をしている。銀山温泉で検索をした方が十分に魅力を感じることができ、実際現地に訪れていただくことにつながっている」(商工観光課)のだという。

●実は記者もその1人

実は記者自身、SNSで銀山温泉を知り、「一度行ってみたい!」といてもたってもいられず、1月に泊まりに行ってきた。日が沈んでからが本番だ。長靴を借りて、小雪が降る温泉街でカメラを構えて写真を撮りまくった。夕食会場では、アジア系の外国人のツアー・団体客や、日本人の若い女性2人組を多く見た。夜は温泉を楽しんだ後、旅館のWi-Fiを使って写真をSNSに投稿。「いいね」が合わせて120件ほど付いた。

銀山温泉の17年度の観光客数は、4〜9月までで18万9100人と順調な滑り出し。JR東日本のキャンペーン「行くぜ、東北。SPECIAL 冬のごほうび」でも銀山温泉は取り上げられており、注目度は高い。ピーク時期である冬のにぎわいに期待がかかる。

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