【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は2日、微小粒子状物質「PM2.5」などによる大気汚染が世界的に拡大を続けており、肺がんや呼吸器疾患などで年間約700万人が死亡しているとみられると発表した。世界人口の約90%が汚染された大気の下で暮らし、健康被害のリスクがあると指摘。WHOのテドロス事務局長は「早急に対策を取らないと世界の持続的な成長は困難になる」と警告した。
特に汚染が深刻なのはアジア・アフリカを中心にした低・中所得国で、大気汚染による死者の90%以上を占めるとした。一方、欧州や北米、日本などの高所得国では汚染度は低いとした。
WHOは世界4300以上の都市などの観測結果を分析。中東や南アジアではPM2.5やPM10がWHO基準を5倍以上も超えた国が目立った。アフリカや東南アジアの低・中所得国の汚染度も高かった。
また30億人以上が質の良くない燃料の使用により屋内で汚染にさらされており、その大半が女性や子供だと指摘した。
健康被害については、2016年には屋外汚染で約420万人、屋内汚染で約380万人が死亡したと推定。12年には屋外、屋内合わせて計約650万人としていた。
WHOは「大気汚染の対策に国境はない。各国が協力してクリーンな再生可能エネルギーの開発などに取り組む必要がある」と呼び掛けた。〔共同〕