歴史的な躍動だった。現地時間7月6日に行なわれた敵地でのマイアミ・マーリンズ戦に「3番・DH兼投手」で先発した大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。
今季14登板目となったこの日、大谷は投打で違いを生み出した。投げては初回に1点こそ失ったが、7回(100球)を投げ、被安打2、10奪三振をマーク。打っても3打数1安打2打点(1四球)、1盗塁。5回に逆転となる2点タイムリーを放つなど目に見える結果を残した。
「初回に1点取られてから粘れたのが良かった。良いところで1本が出た」
試合後のフラッシュインタビューではいつも通りに淡々と語った大谷。だが、4連敗中のチームを文字通り牽引して、自身5連勝となる今季8勝目を挙げた男は、自らのバットで、自らのピッチングを援護する“二刀流エース”としての本領を存分に見せつけたのである。
投打による出色のパフォーマンスは、MLBの歴史さえも塗り替えた。米スポーツ専門局『ESPN』によれば、大谷は1920年に打点が公式記録となって以来、1試合で10奪三振と2打点、そして盗塁をマークした史上初の選手になったという。ちなみに「二桁奪三振+盗塁+1打点」をあげた選手としても史上6人目の快挙をやってのけた。
あの“野球の神様”ベーブ・ルースですら成しえなかった離れ業をまたもやってのけた大谷は、同時にメジャーの名だたる剛腕たちの仲間入りを果たしている。『ESPN』などに寄稿するサラ・ラングス記者によれば、自責点が公式記録となった1913年以降で、4先発で自責点ゼロで40奪三振以上をやってのけた史上8人目の投手だったというのだ。
ちなみにこれを過去にやってのけた投手たちは、マックス・シャーザーやクレイトン・カーショウ、ヨハン・サンタナなど、サイ・ヤング賞を手にした実績を持つ球史に残るエース級ばかり。そんな彼らに肩を並べた大谷は、間違いなく球界屈指の右腕だと改めて強調できる。
投げるごとに歴史を切り開いていく大谷。日米の野球マニアたちが文字通り彼の一挙手一投足に魅了されている。
構成●THE DIGEST編集部