大間原発差し止め 函館市が国、事業者相手に提訴

 青森県大間町で建設中の大間原発(改良型沸騰水型軽水炉=ABWR、出力138万3000キロワット)をめぐり、北海道函館市は3日、国と事業者の電源開発(Jパワー、東京)に原子炉設置許可の無効確認と建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 自治体が原告の原発差し止め訴訟は初めて。行政事件訴訟法が無効確認の提訴が可能と定める「法律上の利益を有する者」に、住民など個人だけでなく自治体も含まれるかどうかが争点となる。
 請求は(1)原子炉設置許可の無効確認(2)国からJパワーへの建設停止命令または市が同意するまでの間の建設停止命令(3)Jパワーの建設と運転の差し止め-の3点。
 訴えによると、大間原発は市から最短で23キロの位置にあり、事故発生時は重大な被害を受け自治体機能が著しく損なわれると指摘。福島第1原発事故前の旧安全審査指針に基づく設置許可であり、新規制基準も旧指針の不備が十分に是正されず、新基準による審査に合格しても安全性は確保されないと主張している。
 福島の事故後、原発30キロ圏内の自治体に原子力防災計画の策定が義務付けられた以上、原発建設の際に同意が必要な自治体に函館市など30キロ圏内の自治体も含めるべきだと主張している。
 弁護団の河合弘之団長は「原告が自治体だというインパクトは大きい。市が議会の承認も得て提訴する意味の重さは裁判官に伝わると思う」と話した。
 提訴に対し、原子力規制委員会は「訴状が届いておらずコメントは控えたい」と説明。Jパワーは「函館市に情報提供や説明をしてきた中での提訴で残念だ。訴訟を通じて大間原発の意義や安全対策などを主張したい」と話している。
 大間原発はウラン燃料を使う通常の原発と異なり、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を全炉心で使う世界初の軽水炉。運転開始時期は決まっていない。

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