大阪では282年ぶりの金環日食 5.21に向け商戦過熱

月が太陽の手前に入ることで、太陽の周囲だけが光って見える「金環日食」。日本では25年ぶり、大阪では282年ぶりとあって、観測可能な5月21日朝を前に、関連本や日食用メガネなどの関連グッズが好調な売れ行きを見せ始めた。最適な環境で観測できるクルーズツアーは売り切れ目前の状態だ。
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 「観測日が近づくと、売り切れが続出するかも」
 大阪市北区茶屋町のMARUZEN&ジュンク堂書店梅田店は、金環日食の関連本約30種類を6階の宇宙・天文コーナーで販売。今後は特設コーナーを設け、4月には売り場を今の2倍、5月には3倍にする。
 数ある関連本でも初心者におすすめなのは手軽な小冊子タイプ。「金環日食観測ノート」(旬報社、メガネ付き525円)は、白抜きの円に時間ごとの太陽の満ち欠けを記録でき、楽しんで学べる内容だ。
 また月刊誌は相次いで特集を組む。視覚に訴える鮮やかなグラフィックが特徴の科学雑誌「ニュートン」は間もなく臨時増刊号を発売。数に限りがあるため、「書店同士で争奪戦が繰り広げられた」(関係者)という。
 金環日食は太陽が欠けた状態にあっても、直視すると失明の恐れがある。観測には専用メガネなどが必要で、東急ハンズ心斎橋店では約20種類を用意。ここ1週間ほどで約80個が売れた。外からの光を遮断することでよりきれいに見える箱形メガネなどがある。
 このほか、金環日食クルーズツアーも人気。JTBは日本一周も兼ねた8泊9日以上、1人32万8千円からのツアーを昨年12月から発売した。太平洋上のベストスポットで停泊して観測するツアーは年配層からの予約が多く、早くも空きが数室に減っている。
 今回は日本列島の南側をかすめる帯状の地域「中心食帯」で午前7時半ごろに約1~5分間、金環日食となり、その前後1時間ほども太陽の一部が欠ける。また、中心食帯以外の地域でも、太陽の大部分が隠れる部分日食を観測できる。
 近畿での次のチャンスは京都や三重などでは2041年。大阪にいたっては2312年になるといい、国立天文台では「これだけ広範囲で見られるのは非常にまれ」と話している。
 金環日食 見かけの大きさで月の方が太陽より大きくなる場合に観測される「皆既日食」に対し、太陽が月より大きく見える現象。今回は、世界地図上で観測可能な地域を示す細い帯「中心食帯」が、ほぼ日本列島と重なるため、多くの地域で観測できる。

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