大阪市長、姉妹都市解消を表明 「信頼関係が破壊」

大阪市の吉村洋文市長は24日、姉妹都市の米サンフランシスコ市が旧日本軍の慰安婦像を市有化したことを受け、「信頼関係は完全に破壊された。姉妹都市を解消します」と表明した。民間の交流事業に対する補助金についても、「大阪市民の税を投入することは考えていない」と述べた。市役所で報道陣に語った。

【写真】米サンフランシスコ市との姉妹都市解消について報道陣の質問に答える吉村洋文・大阪市長=24日午前、大阪市北区の大阪市役所、細川卓撮影

 吉村市長はサンフランシスコ市のエドウィン・リー市長に会談を申し入れていたが、23日にサンフランシスコ市側からメールで「慰安婦像について議論の余地はない」と、会談を断る旨の回答があったという。今後、大阪市議会への説明や市の幹部会議を経て、12月中に書簡で提携解消を通告する方針だ。

慰安婦像は中国系米国人らの民間団体が9月にチャイナタウンに建てた。碑文には「性奴隷にされた何十万人の女性」「大多数は囚(とら)われの身のまま命を落とした」などとあり、吉村市長は「日本政府の見解と違う」と抗議を続けてきた。この日は慰安婦について、「(性奴隷ではなく)戦場における公娼(こうしょう)制度だった」との見解を示した。

今年で60周年を迎えた姉妹都市関係を解消するデメリットについては「5年ごとの周年事業や市長交流など、行政としての交流はなくなる」と述べた。2025年に大阪市への誘致をめざしている万博への影響については、「生じないと思う。慰安婦像について真新しい意見を言っているわけではない」と語った。

菅義偉官房長官は24日の記者会見で、慰安婦像の設置について「極めて遺憾で、誠に残念」と述べた。大阪市が姉妹都市を解消することについては「地方公共団体の長の発言に国がコメントすることは差し控えたい」と述べた。(半田尚子)

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