大阪府、医療用マスクや防護服の在庫ゼロ 国に対応要望

大阪府の吉村洋文知事は9日、業務用マスクや防護服などの医療用品について、大阪を含め政府の緊急事態宣言の対象地域となった7都府県に優先的に配るよう国に要望した。府庁で記者団に明らかにした。吉村氏は医療用品を確保するための今年度補正予算案を8日に専決処分したばかりだが、府内の医療機関からは「足りない」と悲鳴が上がり、綱渡りの状態が続いている。

【図でみる】大阪市の軽症者対応のイメージ

 府では、1日の平均感染者数が千人になった「オーバーシュート(爆発的患者急増)」の場合は、高密度マスク「N95」と防護服、フェイスシールドがそれぞれ220万枚、医療用手袋は450万組が必要と算出。N95マスクや防護服はすでに府の備品に在庫がなく、調達も難しい状況という。

 医療従事者用の「サージカルマスク」は8日に国から100万枚が届き、今週末までにさらに約90万枚配布される予定。しかし府内の医療関係者が1カ月間に使うと見込まれる数は約千万枚で、遠く及ばない。府内の病院からは「防護服の予備が2週間分しかない」「業務用マスクが足りず、使い捨てできない」などと切迫した声が寄せられているという。

人工呼吸器の確保も課題だ。公益社団法人「日本臨床工学技士会」が2月に行った緊急調査では、回答した府内の48医療機関に約千台の人工呼吸器があり、使用中を除く約540台を充てられることが分かった。

 府の担当者は「人工呼吸器は需要が高い。重症者が急増すれば足りなくなった自治体間で争奪戦になる」と懸念する。

 吉村氏は国への要望について、記者団に「予算は組んでいるが買う先がない。ほかの自治体にすれば『なんでやねん』となるかもしれないが、不平等に扱ってくれと言った」と述べた。

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