大雪 東北日本海側襲う 1月の天候まとめ 仙台管区気象台

仙台管区気象台が1日発表した1月の天候まとめによると、東北は冬型の気圧配置と、強い寒気が流れ込んだ影響で、日本海側を中心に記録的な大雪に見舞われ、青森、秋田、山形の3県では、大雪に伴う事故や交通障害などが相次いだ。1月の最深積雪量は青森市酸ケ湯が429センチで、過去の観測史上最多を38センチ上回った。平年の約1.5倍で、1月に4メートルを超えたのは初めて。山形県大蔵村肘折も357センチで従来の1位を12センチ更新。酸ケ湯は全国でも積雪のトップで、肘折が2位だった。ほかにも尾花沢が221センチ、北秋田市鷹巣が131センチ、むつ市脇野沢が116センチ、本荘が75センチで過去最多だった。1日も冬型の気圧配置の影響で、東北各地でまとまった雪が降った。仙台管区気象台によると、午後5時現在の24時間降雪量は岩手県雫石33センチ、むつ29センチ、青森市酸ケ湯28センチなど。この先1週間も気圧の谷や寒気の影響で曇りとなり、日本海側を中心に雪が降る日が多い見込みだ。
◎青森
 青森地方気象台によると、青森県内の積雪深は1日午後4時現在、青森市酸ケ湯で402センチと平年の1.4倍を記録。今別町で128センチ(平年の2.4倍)、青森市は124センチ(同1.7倍)、弘前市で118センチ(同2.2倍)など各地で平年を大きく上回っている。
 雪害事故も記録的に多い。県防災消防課によると、昨年12月11日から1月31日の除雪関連の事故件数は169件(昨年同期86件)。死者は9人で昨季合計の3人を既に上回った。同課は「統計以来(2003年)で最大だった04年の事故件数200件を、はるかに上回る勢いだ」と警戒する。
 農業関係の被害も深刻だ。県農林水産政策課によると、雪の重みで倒壊するなどしたビニールハウスは、平川市や田舎館村、黒石市など7市町村で計90棟。リンゴの木の枝が折れる被害も一部で報告されているが、「周辺の雪が深すぎて畑の中に入れず、詳しい被害状況を調査できない」(同課)という。
◎秋田
 秋田県は雪害警戒部が各機関と雪に関する情報を共有して雪害防止に努めており、15市町村は豪雪対策本部などを設けた。
 県によると、1日までに県内の雪下ろし中の事故などは計107件(昨年同期202人)。1月18日に自宅屋根の雪下ろしをしていた鹿角市の男性が転落して亡くなるなど死亡6人(同12人)、重傷45人(同83人)、軽傷56人(同107人)。県総合防災課は「今後も一層の警戒を」と呼び掛ける。
 秋田地方気象台によると、1日午後3時現在の秋田市の積雪量は35センチ(平年19センチ)。大雪時に市所有の103台と委託業者228社の582台の除雪車全車が出動する一斉除排雪を既に3度実施するなど、市は連日道路の除雪作業に追われる。
 除雪費は本年度当初予算で8億円だったが、補正予算で増額し、総額29億6900万円に達した。昨年度の19億8900万円を大幅に上回る。
◎山形
 山形県内では、新庄市など県北の最上地方と米沢市など県南の置賜地方が大雪の中心。ブドウ棚が倒壊するなど農業施設に約2300万円の被害が出ており、県は1月31日に豪雪災害対策本部を設置した。
 1月の最深積雪量357センチを記録した最上地方の大蔵村肘折。肘折温泉で旅館を営む木村裕吉さん(55)は「昨季も豪雪だったが、今季はいつもより早い12月から本格的に降っており、雪の量が多い」と話す。屋根に上っての大掛かりな雪下ろし回数は、既に昨季と同じ4回。「この様子だとあと2回は必要。そろそろ一服してほしい」と困り果てた様子だ。
 新潟県に隣接する置賜地方の小国町は積雪が250~350センチ。30台の除雪車がフル稼働する。当初の除雪費1億5000万円では足りず、町は1月20日に補正予算で同額を追加した。町の担当者は「このままだと、さらに補正を組まないと除雪できない」と頭を抱える。

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