気象庁は17日、南米のチリ中部沖で同日朝に起きたマグニチュード(M)8・3の地震で、18日明け方に日本の太平洋沿岸で最大で1メートル以下の津波が 到達する可能性がある、と発表した。最も早い北海道では同日午前5時半ごろの見込み。気象庁は、米ハワイに到達した津波の高さを踏まえ、18日未明に津波 注意報を発表するかどうか最終的に判断する。
津波が到達する場合、太平洋沿岸で高さ20センチ以上~1メートル以下としている。この程度の津波の場合、海中の流れが速くなるが、陸上への影響が出ることはないという。ただ、遠方から来る場合、長時間にわたり、津波が繰り返されることがあるという。
米ハワイの太平洋津波警報センターの情報では、17日午後2時56分現在、チリの沿岸で最大4・8メートルの津波を観測したほか、沖合のイースター島でも0・2メートルの津波が確認された。
宮城県気仙沼市は17日午後5時半、津波の到達に備え、沿岸の8557世帯2万2363人に避難準備情報を出した。小学校や公民館など10の公共施設に避難所を開設した。
気仙沼漁協は17日午後、津波注意報が出た場合には、安全確保のために18日朝の水揚げ作業と入札を中止すると決めた。普段は荷揚げ場に駐車しているフォークリフト42台などを屋上の駐車場に移した。
魚市場を利用する業者も作業が終わると次々にフォークリフトを屋上に避難させた。サンマの水揚げは旬を迎えている。運送会社を経営する男性(54)は「震災で流された同業者もいる。念のためです」と話した。
チリ沖ではM8クラスの巨大地震がたびたび発生している。1960年にM9・5の地震が発生した際には日本の太平洋沿岸に1~4メートルの津波が到達 し、多数の死者・行方不明者が出た。最近では2014年4月にM8・1の地震があり、最大で岩手・久慈港で55センチの津波を観測している。(鈴木逸弘、 青瀬健)