太平洋沖、M8級余震も 海洋機構、プレート内の力変化

東日本大震災の地震により、東北地方に沈み込んでいる太平洋プレート(岩板)の内部で力のかかり方が変化したことを、海洋研究開発機構などのチームが観測で発見し31日、米科学誌に発表した。東北沖の太平洋遠方で起きる地震は、震災前にはマグニチュード(M)7級と考えられていたが、余震として起きる地震がM8級になる可能性も出てきたという。
 遠方の地震が実際に起こる確率は不明だが、チームの尾鼻浩一郎主任研究員は「1933年の昭和三陸地震(M8.1)と似たタイプ。断言はできないが、発生しやすくなっているとも考えられる」としている。
 チームは昨年4~7月、宮城、福島両県の沖合250キロ以上離れた海域に設置した20台の海底地震計で、太平洋プレートの内部で起きる余震を観測、データを分析した。
 約1700回の余震のうち、50回分の発生メカニズムを解析したところ、引っ張られる力によってプレート内部の断層がずれる「正断層型」の地震と判明。この型の地震は深さ約40キロのプレート下部でも起きていた。
 震災前の観測では、正断層型は深さ20キロまでしか起きていなかった。チームは、それより深いプレート下部では圧縮される力がかかっていたが、震災によってプレートにたまっていたひずみが解放されるなどして、引っ張られる力に変わったと判断した。
 震災前は、プレート内の断層で地震が起きても、力の境目で止まりM7級とされた。しかしプレート全体が引っ張られる力に転じたことで、上部から下部まで一気に断層が動くケースも考えられ、M8級になるという。
 尾鼻研究員は「プレート内部の地震は研究が進んでいない。十勝沖や房総沖なども調査したい」と話している。

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