九州電力は10日、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー事業者に対し、発電を一時停止する「出力制御」を要請する方針を表明した。大規模停電の原因になり得る過剰な発電を抑制し、電力需給のバランスを維持するのが目的。離島での実施例はあるが、広域での太陽光発電などの停止要請は国内初となる。
九電幹部は同日、経済産業省の会合で、冷房需要の減少に伴い「10月後半にも出力制御が必要になる」との見通しを示した。九電は既に事業者への説明を始めており、抑制協力を拒む場合は今後の送電網利用を断る可能性もあるという。
9月の北海道地震では、北海道電力最大の火力発電所停止などで電力の需給バランスが崩れ、道内全域にわたる大規模停電(ブラックアウト)が発生した。ブラックアウトは、需要を大幅に上回る供給過多でも起きる可能性がある。
政府は2012年、大手電力会社が定額で再生可能エネルギーを買い取る「固定価格買い取り制度」を導入。日照条件がいい九州では、企業などによる太陽光発電設備の導入が進んだ。九電によると、管内の総需要に占める太陽光発電の比率が8割を超えたこともあり、好天で太陽光が増えると予測される場合は、事業者に国のルールに基づく出力制御を行うよう実施前日に通知する。
九電は、冷暖房などの利用が少なく電力需要が低下する秋と春の休日を、出力制御の実施日に想定。管内の事業者を対象に、1回で計数十万キロワットの発電停止を求める可能性があるという。家庭用の太陽光など出力10キロワット未満の小規模な発電設備は停止対象から除く。
[時事通信社]