宮城県東松島市は12日、「スマート防災エコタウン」事業を同市赤井地区で本格稼働させた。災害公営住宅団地内で太陽光発電により電力を発電し、市が整備 した送電線で住宅と周辺の公共施設に電力を供給する。再生可能エネルギーの地産地消と災害時の電力確保を両立させる国内初の取り組み。
防災エコタウン事業は自治体が電力事業者となって自前の電柱、電線を整備する。昨年8月に引き渡された「柳の目東住宅」では、住宅と集会所の屋根、調整池に太陽光パネル(最大出力約460キロワット)を設置し、全住宅85戸と周辺の病院4カ所などの電力を賄う。
災害時の停電の際は大型蓄電池やバイオディーゼル発電機を活用し、3日間は団地と周辺施設の全電力を賄える。病院や集会所など供給先を絞ると、さらに長期間の送電を維持できる。事業費は約5億円。環境省の補助を受けた。
現地で同日あった式典には、市やシステム構築を担った積水ハウスの関係者約60人が出席。デモンストレーションでは、停電を発生させ、システムの稼働で電力を復旧させた。
阿部秀保市長は「東日本大震災で命を扱う施設には自立分散型のエネルギーが必要と実感した。事業を国内外に発信し、災害に強いまちづくりを目指す」と述べた。柳の目東自治会の相沢正勝会長は「停電時でも安心できる」と話した。