太陽光発電の買取価格引き下げ、補助金頼みの事業はもう限界

「もはやFIT頼みでは太陽光発電事業は続かない」。昨年から業界関係者の間ではそんな声が多かったが、いよいよそれが現実化しつつある。

2月7日、2018年度の再生可能エネルギー(再エネ)の固定買い取り価格の値下げが決まった。FITとは再エネの固定価格買い取り制度のことで、太陽光や風力などで発電した電気を、電力会社が一定期間同じ価格で買い取る制度だ。

太陽光の買い取り価格は発電量によって大きく三つに分類される。(1)10キロワット未満の住宅用、および産業用で(2)10キロワット以上2メガワット未満の小・中規模と(3)2メガワット以上の大規模だ。今回は導入量が最も多い(2)の価格が、現行の21円/キロワット時から18円/キロワット時に引き下げられる。

FITの価格は、太陽光発電設備の設置費用などに事業者の適正な利潤を加味して算出される。これが結果的に、国が20年((1)は10年)間保証する補助金と見なされて太陽光バブルを引き起こした。

しかしFITの財源は、電気利用者が支払う電気料金から徴収される再エネ促進賦課金で成り立っている。導入が進むほど国民負担も増えるため、批判の的になった。

そこで段階的にFITの価格が引き下げられた結果、太陽光発電関連業者は窮地に陥る。東京商工リサーチによれば、17年の太陽光発電関連事業者の倒産件数は88件、負債総額は約285億円に上り、2000年の調査開始以来、過去最高となった。

すでに(3)の価格は民間競争による入札制度によって決められており、今回(2)の価格が引き下げられたことで、補助金頼みの事業は終焉を迎えることになるだろう。

売るより使う方が得に

(1)の住宅用には、いわゆる「19年問題」が横たわる。09年から始まった余剰電力の買い取り期間が10年の満期を迎えて、19年で終了する住宅が増える。同年10月末で約50万件、2ギガワット相当に上り、以降も毎年10万件単位で増加していくとみられる。

期間終了後の買い取り価格は、制度開始当初の48円/キロワット時から11円/キロワット時まで下がる見込みだ。また再エネの出力抑制を求める電力会社が多く、今後は売電できない可能性もある。

そんな中、注目されているのがグリッドパリティだ。再エネの発電コストが既存の電力コストより安価になる点を指し、住宅用の太陽光発電では、すでにグリッドパリティになっているとされる。発電した電気を売るより自分で使う方が得になるため、今後は自家消費が広がるだろう。

実は、(2)でも近くグリッドパリティになるとされている。すでに一部の業者はここに目を付け、太陽光パネル、蓄電池などを組み合わせた独自のシステムで勝負を仕掛けている。18年は自家消費時代の幕開けとなる。

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