日本の魅力を日本に住む外国人の視点で発信する動きが広がっている。トイレや祭り、漫画喫茶といった独自の文化を紹介するインターネット番組などを制作。外国人旅行者の呼び込みにつながりそうだ。
NHKの国際放送のリポーターなどとして活躍する米国人、ジョン・ドーブさん(39)は日本の教育関連企業「ワオ・コーポレーション」(大阪)とともに、日本の文化や風習などを紹介する番組「ONLY in JAPAN」を作った。取り上げたのは岡山の奇祭・裸祭りや日本のトイレの魅力など15テーマ。ドーブさんは「オタクや原宿ファッションだけでなく、おもしろいところがたくさんある」と話す。
番組は昨年2月から日本の文化を海外に紹介するインターネット放送局「WAO!流JAPAN」で順次、放送された。
日本の魅力を伝えると同時に誤解も解きたかったという。「汚くてホームレスが出入りする」と海外で報道されたことがある漫画喫茶を番組で取り上げ、「快適な椅子で飛行機のファーストクラスのようだ」と絶賛。ふんどし姿で行われる裸祭りについても、その歴史などを紹介し、外国人が不思議に思っていることを説明する内容とした。
番組は米国やシンガポールのテレビ局でも放送されており、「東京五輪もあり、海外に日本をもっと知ってもらえるチャンス」と、次回作も検討中だ。
こうした在日外国人の発信力に自治体も注目している。福岡市は昨年9月、市のPR活動を担う「福岡市カワイイ区」の区長に同市在住のカナダ人、ミカエラ・ブレスウェートさん(26)を任命。ミカエラさんはPR動画を制作したり、実際にイベントにも出演したりしている。
ミカエラさんは平成19年から日本での日常生活や魅力を動画サイトで発信。動画サイトの再生回数は昨年12月時点で2500万回を超え、注目度は高い。同市の担当者は「外国人から見た福岡市の魅力を英語で海外にダイレクトに発信できる」と話している。(油原聡子)