いま女子中高生を中心に話題を集めている「ASMR」をご存知だろうか? 女子中高生向けのマーケティング支援などを手がけるAMFが、2018年11月30日発表した「2019年のJC・JKトレンド予測」の「コトバ部門」にノミネートされた言葉でもある。
ASMRとは?
「ASMR」は「Autonomous Sensory Meridian
Response」の略で、咀嚼(そしゃく)音や耳かきの音などを録音したいわゆる「音フェチ動画」だ。ヘッドホンなどを装着し、立体感のある話し声またはささやき声や、スライムをこねる音など、若者を中心に学習時や就寝時に聴くと良いと言われ、癒やし動画として話題となっている。別名は「脳がとろける動画」。
アメリカで流行したことをきっかけに、世界中で徐々に人気が拡大し、韓国でも睡眠導入に良いと大きなブームとなっている。最近では芸能界でもアイドルグループ・欅坂46の菅井友香さん(23)や、『第14回全日本国民的美少女コンテスト』のグランプリに輝いた高橋ひかるさん(17)など、若者に人気の芸能人がASMR動画好きを公表している。
また先月14日に発表されたドワンゴが運営する『ニコニコ大百科』および、ピクシブが運営する『ピクシブ百科事典』の両サービスが主催するネットで最も流行した単語を表彰する『ネット流行語 100 2018』では、62位に「ASMR」がランクインするなど、多くの世代に認知されつつある。ちなみに1位に輝いたのはテレビアニメ『ポプテピピック』、2位は「バーチャルYouTuber」だ。
CDが販売されるほどの人気
YouTubeで「ASMR」と検索をすると海外のYouTuberが目立つが、日本のYouTube界でも人気YouTuberの「Fischer’s-フィッシャーズ-」や「東海オンエア」がASMR動画に挑戦しており10代を中心に一気に認知度が高まった。その中でも2015年からYouTubeにASMR動画を投稿している「はとむぎ」さんは、自身のYouTubeチャンネル「hatomugi
ASMR」に投稿する動画のクオリティの高さから人気が高まり、昨年の9月には初の音声アルバム『おとあつめ』(税込1,944円)をポニーキャニオンから発売している。同アルバムには、ASMR動画の中でも人気の高い「耳かき」、「水、炭酸水」、「スライム」などの音源が収録されている。
ASMR動画を作ってみた!
今回、編集部ではビジネスパーソン向けに、独断と偏見でおすすめのASMR動画をチョイスし、動画作りにチャレンジしてみた。そして実際に仕事上での効果と、使い所を探ってみたのでご紹介しよう。
寝落ち者続出のド定番「耳かき」
「ASMR」の中で特に人気が高いのが「耳かき」。耳かき専門店があるほどリラックス効果が高いというが、「ゴソゴソ」と耳垢が掻き出される音の快感が、多くの音フェチの心と耳を満たしているようだ。うるさすぎず耳の奥がこそばゆくなる感覚が常にあり、10分ほど聴き続けると徐々に眠気が襲ってきた。多くの視聴者からも「寝落ちしてしまった……」と言うコメントがあり、実際の耳かきでも寝てしまったという描写は、多くのドラマや漫画の定番シーンに使用されるだけあり、その癒やし効果は絶大だろう。仕事のプレッシャーや不安で眠れないというビジネスパーソンには、ぜひ一度試してもらいたい。
シュワシュワ音が気持ちいい「炭酸」
人気コンテンツの「炭酸」は、炭酸水をグラスに注ぐ「シュワシュワ」とした音や、入浴剤の溶け出す音に多くの人が魅力を感じているようだ。サボリーマンでない人でも、炭酸の音に「仕事終わりの1杯」や「疲れを洗い流すひとっ風呂」を連想した人も少なくないはずだ。個人的には朝一番に聴いてしまうと、すぐにでも帰りたくなってしまうので……、あとひと踏ん張り時の15時以降に聴くと、仕事終わりの自分を想像しやすくモチベーションが上がるように感じた。またこちらも寝落ち者続出のリラックス効果があるとのこと。
一定のリズム感が心地良い「石鹸&砂」
集中して作業に取り掛かりたい場合は、「石鹸」や「砂」のASMR動画がおすすめ。石鹸はカットする作業系の内容だが、一定のリズム感があり、カフェで流れるBGM感覚で聴くことができる。砂も同様に海の波のようなリズム感があり、気持ちがリラックスすると共に作業に没頭できた。また、一定のリズムは、海を眺める時のように頭の中をぼーっとさせることができ、一度手を休めて気持ちをリセットしたい時に聴くと良いだろう。
常識的なビジネスパーソンの方には今さらお伝えするまでもないが、あくまで使い所と、集中し過ぎて周りの声が聞こえなかったというトラブルには気をつけていただきたい。今回編集部で作成したASMR動画は、紹介用の短尺のものだが、YouTube上には1時間を超える長尺なものも多い。自分の使い方にあった動画を見つけておくと、ストレス社会の現代で、「耳からの幸せ」を感じてモチベーションアップにつながるかもしれない。ぜひ参考にして明日の糧にしていただきたい。