女子中高生の2017年「あけおめLINE」事情 「自撮りメッセ」も正月バージョン

年始のあいさつといえば年賀状が当たり前、という時代は変わりつつあります。メールによる「おめでとうメール」や、FacebookなどのSNSでのあいさつも抵抗なく受け入れられるようになりました。さて、スマホネイティブの中高生は、どんな年末年始を迎えたのでしょうか。中高生たちのお正月をレポートします。

「LINE」か「年賀状」かで悩む

近年の年越しといえば、大みそかの0時ごろから30分間「おめでとうコール」や「おめでとうメール」が集中するため、キャリア(通信事業者)3社および一般社団法人電気通信事業者協会から自粛を呼びかけることが慣例になっていました。しかし、今年は一般社団法人電気通信事業者協会からリリースが出たのみで、キャリアからの呼びかけはありませんでした。

一方、LINEは例年どおり、“【ご協力のお願い】年末年始の「あけおめLINE」はWi-Fiに接続してご利用下さい”というリリースを出しました。中高生だけではなく、世代を超えてメールや通話からLINEでのあいさつに移行してきているのかもしれません。

大人世代が多く利用するFacebookでも、新年のあいさつとして年賀状と同様の画像を投稿している人を多く見かけました。FacebookなどのSNSでつながっている相手とは、年が変わるその瞬間にあいさつができます。住所を知らない相手とも年始のあいさつができるという利点もあるからでしょう。

中高生も、年始のあいさつをどうすべきか悩んでいます。中学生はLINEやTwitterをまだ始めていない人が多いため、年賀状も現役です。しかし、学校から配布された名簿には住所が掲載されていないため、住所は直接教えてもらうしかありません。冬休みに入る前に、同級生や先輩とメモを片手に住所交換します。

「LINEでつながっているけど年賀状も欲しい」という友人も出てくるため、結局、誰に何をしていいのか、非常に迷う状況になります。そこで、LINEのタイムラインで、お得意のアンケートを取るのです。GMOが運営する「プリ画像」では、LINEのタイムライン用に新年のアンケートを取れる画像が人気を集めていました。

高校生ともなると、スマホの普及率が93%(「高校生のスマートフォン利用実態調査」MMD研究所)であるため、ほぼインターネット経由でのあいさつになります。ここで利用されるのはLINE、そしてTwitterです。年末年始のあいさつは、この2つのツールを使い分けます。

友人と広くゆるくつながっているTwitterは、年末のあいさつに利用されます。「今年もありがとうございました!」などのコメントとともに投稿するのは、今年撮影した写真一覧を加工した画像です。写真の数が多いため1枚1枚の絵が小さく、何が写っているのかはっきりわからないのですが、一緒に撮影した友人にはわかります。「あのときの画像が入ってる」と、お互いに1年を振り返ることができます。

「スマホの大掃除」も兼ねている

どうやって1年分の写真を一覧にするかというと、スマホの写真アプリです。写真アプリにはスマホに保存された画像一覧がサムネイル表示されます。1年分の写真を一覧表示し、それをスクショ(スクリーンショット)して、画像編集アプリで「2016」などの文字を入れて投稿します。この画像を作るために不要な画像を整理するため、スマホの大掃除にもなっています。

年が明けたら「あけおめLINE」です。とはいえ、年始のあいさつを個人トークでつながっている全員に送るという人は珍しいようです。仲がいい友人だけに、1年を振り返ったメッセージを送ったり、一緒に自撮りした画像にメッセージを書いたりなどして送ります。

そして中学生を中心に、LINEのタイムラインが使われます。年賀スタンプや自作の画像、文章のみでなど、それぞれのスタイルで年始のあいさつをします。また、ステータスメッセージも新年向けに変更します。「あけおめ!」に始まりお正月をどう過ごしているかなどを長くて改行の多い文章で載せるため、元旦には「友だち」一覧に新年の挨拶が並びます。ホーム画像を「2017」などの文字が入った新年バージョンにする人もいます。

高校生はTwitterも活用します。「Happy New Year! 2017年もよろしくね」などの言葉とともに、初詣でで撮った自撮り写真などを投稿します。

ところで、「あけおめLINE」をきっかけに、好きな人にLINEを送る中高生も多いようです。LINEはいつでも連絡が取れますが、なんとなく会話が終了してしまっていることがあります。「みんなに送っているから」という理由づけで、片思いの相手に連絡するのです。そこから会話が続いて、うまくいけば一緒に初詣でも狙えるかもしれません。また、元カノや元カレにもしれっと送る人もいるようです。こちらの発展は難しいかもしれませんが、新しい年をきっかけに何が起こるかわかりませんよね。

そして、自撮りが大好きな中高生には、「自撮りメッセ(メッセージ)」と呼ばれる文化があります。これは、自分の自撮り画像に相手に向けたメッセージを画像編集アプリで描いた画像を送ることを指します。

誕生日のお祝いやふとしたときに、仲のいい友人や彼氏、彼女に向けて、「いつもありがと」などの言葉を入れ、とっておきの1枚を作るのです。自撮りといえば複数で撮ることが多い中高生ですが、自撮りメッセの場合は自分だけで写した画像も多く使われます。SNOWなどの自撮りアプリで撮影した写真に、ピンク色の手書き文字などが入り、アイドルのブロマイドのような画像が作られます。

現代版「写真入り年賀状」

友人が盛れてる画像を受け取っても微妙なのでは……と筆者は長いこと不思議に感じていました。しかし、誰かがTwitterやLINEで「自撮りメッセ欲しい人ー!」と呼びかけると、「ちょうだい」と名乗りを上げる中高生が多いのです。そして、友人からもらった自撮りメッセをTwitterなどで公開し、自慢すらしています。友人が自分のためだけに画像を作ってくれたこと、それがたくさん集まったことは確かにうれしいですよね。

この自撮りメッセですが、年始の場合は少し状況が違ったのです。「あけましておめでとう」などの言葉を添えた1枚の自撮りメッセを、複数の人宛てに送っていました。そう、これはまさに、「写真入り年賀状」です。中高生の「自撮りメッセ」は新たなカルチャーだと感じていたのですが、古くからある風習がデジタル化しただけなのかもしれません。

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