リオ五輪代表、女子体操・宮川紗江(18)選手のパワハラ騒動が混迷を極めている。
暴力行為を発端にコーチを処分、これに反論する形で宮川選手は29日の会見で「日本体操協会からのパワハラ」という新事実を告発。
「18年しか生きていませんが、人生の中で一番の勇気を出してここに立っています」と前置きし、日本体操界の女帝と呼ばれる塚原千恵子女子強化本部長を名指しで批判。一連の騒動に関して30日放送『スッキリ』(日本テレビ系)でまとめられた。
■宮川選手の会見元コーチの暴力行為は「1年以上前の話。怒られても仕方がない、競技中のケガに繋がる場面で厳しい指導を受けた」と説明。暴力によるケガもなく、元コーチから謝罪も受けていたと宮川選手は明かす。
協会の処分が重すぎるのを不服とし、宮川選手と元コーチは東京地裁に処分停止を申し立てているが、その後、塚原強化本部長と夫の塚原光男体操協会副会長に呼ばれ「パワハラ」と感じる言動を受けたという。
「暴力の話を認めないとあなたが困る状況になる」と詰め寄られた宮川選手が今後もコーチや家族と一緒にやっていく意思を伝えると、「家族でどうかしている。宗教みたい」「オリンピックに出られなくなるわよ」と脅しとも取れる発言をされたことが語られた。
■朝日生命への引き抜きその後、塚原強化本部長が監督を務める体操の名門・朝日生命で練習できるとの打診を受けた宮川選手。
自身が「メダルを狙える選手」としたうえで「過去の暴力を理由にコーチと引き離し、朝日生命に私を入れるのが目的。強化本部長が関わる、大きな力が働いているのは間違いない」と主張。「今までに感じたことのない恐怖を覚えた」と心境を吐露する。
最後に「コーチとイチから出直す」ため全試合を辞退すると表明、「必ず復帰する」と決意を口にした。
■日本体操協会の反論宮川選手の会見から1時間半後、日本体操協会・専務理事が会見。「元コーチによる11件の暴力行為を確認済み」でいかなる理由があろうと許されないと反論し、元コーチの処分についても「ケガをしたかどうかは関係ない。処分は妥当」と強調。
宮川選手が主張する「コーチとの引き離し」については、「いま初めて聞いた。本件とは一切関係ない」。オリンピックに出られなくするといった旨の発言については「私にはわからない。回答を控える」と答えた。
また、塚原光男副会長は「宮川選手の会見にウソが多い。書面で回答する」と語っている。
■有識者は…バルセロナ五輪・銀メダリストの池谷幸雄氏は「塚原さんの名前を出したのは、体操界の歴史が変わるほどの激震。いろんな意味で表にここまで名前は出せなかった」と語る。
匿名の元体操選手は「強化本部長は世界とつながる人物で一言でいうと女帝。言うことは絶対」と本部長が体操界にとって、大きな権力を持った存在だと示した。
さらに体操協会に所属していない元体操選手の相原誠氏も言葉を選びながら「上に行けば行くほど、体操協会の影響が大きくなる。
朝日生命の引き抜きは有名」と苦言を呈す。
加藤浩次は「公平に選ばなければいけない強化本部長がイチ団体の監督なのはおかしい」と怒りを滲ませた。
■スポーツ界に蔓延するパワハラ日本体操協会のパワハラだけでなく、その背後に見え隠れする女帝が監督する朝日生命の引き抜き問題など、新事実が次々に明らかとなった本騒動。
連日騒がれるスポーツ界のパワハラ問題に、視聴者も辟易しているようだ。
コーチと教え子って2人にしかわからない絆あると思う。コーチを守ろうとしているまだ18歳の宮川選手すごい。
トップによる権力の集中がこういった問題に繋がりがちだ。2020年の東京五輪までにすべての膿を出すためには、今一度、各界が「トップの在り方」を見直す必要があるだろう。