女川だもの、たい焼きはサンマ形 「名物」あやかり新名物

 全国有数のサンマ水揚げを誇る宮城県女川町で、タイならぬサンマをかたどった「さんまなたい焼き」が人気を集めている。東日本大震災で被災した女性たちでつくる「女川高白浜草履組合」が考案した。被災者の生きがいづくりから、町の新名物が生まれた。
 さんまなたい焼きは、長さ約10センチのサンマ2匹が並んだ形の皮にあんがたっぷり入っている。焼き上げる型は特注品で、ボランティア団体が用意してくれた。
 組合の活動拠点になっている町内のアンテナショップ「うみねこハウス」で3月に販売を開始。1個100円で1日約50個が売れ、常連客も増えている。
 石巻市の復興支援団体「ママサポーターズ」代表で、組合設立を仕掛けた八木純子さん(48)が発案した。女川町出身の八木さんは「たい焼きを売っていたけど、女川だからサンマの形にしたいと思った」と笑う。
 活動は2011年夏、八木さんが故郷の高白浜地区の仮設住宅で女性たちに呼び掛け、支援物資のTシャツを材料に草履を編むようになったのが始まり。1足1500円で被災者支援グッズとして各地のイベントなどで販売され、製作者に収益が入る。
 他地区の仮設住宅にも活動が広がり、11年10月に組合が発足。昨年5月にはうみねこハウスをオープンさせ、現在は約40人が草履作りに励む。たい焼きは昨年12月に始め、作り方を学んだメンバーが交代制で店頭に立っている。
 メンバーの一人、渡辺たけ子さん(62)は「震災で仕事を失ったが、年齢的に就職は難しい。草履などを買った人が喜んでくれ、小遣いも得られるのはうれしい」と張り合いを感じている。
 八木さんは「被災したお母さんたちが閉じこもらないよう、何かやりがいを持てるきっかけをつくりたかった。どうせなら楽しみながら、復興までの道を歩みたい」と話している。

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