中東のカタールが東日本大震災の復興支援で建設資金約20億円を援助し、宮城県女川町の女川魚市場買受人協同組合が整備した大型冷蔵庫「マスカー」が完成し、操業記念式典が13日、現地であった。名称の「マスカー」はアラビア語で、カタールの伝統的な漁法の意味。15日に本格操業を開始する。
カタールや町関係者ら約100人が出席。来日したアブドゥラ・ビン・ハマド・アルアティーヤ行政監督庁長官が「ことしはカタールと日本の国交樹立40周年。東北の水産業復興に時間はかかるだろうが、被災者の夢と希望の実現に役立ちたい」と語った。
須田善明町長は「マスカーは町の水産業の中核となる施設で、多くの被災者の雇用も生む。支援を糧に必ず復興を成し遂げる」とあいさつ。組合の高橋孝信理事長は「水産業の復興には大型冷蔵庫の再建が急務だった。支援のおかげで津波に強い施設の完成にこぎ着けた」と述べた。
マスカーは鉄筋3階建て、延べ床面積約6800平方メートル。1階の外壁は津波を受けた場合、自動的に壁面パネルが外れて波が通り抜ける構造で、2階に貯蔵能力約6000トンの冷蔵室を設置した。3階は災害時の避難場所として、備蓄倉庫や飲料水タンクなどを備えている。