東北電力は3日、女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷(そうか)」の作業を開始したと発表した。11月ごろに予定する再稼働に向け、準備作業を本格化させた。東北電が2号機で燃料装荷の作業を実施するのは、東日本大震災前の2011年2月以来、13年7カ月ぶりとなる。
東北電によると、燃料装荷作業は3日午後3時に着手した。原子炉建屋の使用済み燃料プール内に保管された燃料集合体を、専用の燃料交換機を使って移動させた。最終的に560体の燃料集合体を原子炉圧力容器に収める。完了には1週間程度を要する見通し。
東北電の担当者は「安全確保を最優先し、作業内容などを地域に丁寧に説明していく」と話した。
作業終了後、水中カメラで原子炉内の燃料集合体の配置状況を確認する検査を予定。その後は蒸気乾燥器取り付けなど、再稼働できる状態に原子炉を復旧させる工程へ移る。
東北電によると、11年3月の東日本大震災発生時、2号機は定期検査中で、営業運転開始に向けた原子炉起動試験を行っていた。地震の揺れで自動停止した後、燃料集合体は原子炉内から抜き取られ、11年12月までに使用済み燃料プールへ移された。
女川2号機は過酷事故が起きた東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。原子力規制委員会の新規制基準に合格したBWRは、東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を含め全国に5基あり、再稼働に向けた手続きは女川2号機が最も進んでいる。
立地自治体首長、丁寧な情報提供求める
東北電力が女川原発2号機の再稼働に向け「燃料装荷」に着手した3日、立地自治体の首長は今後さらに続く各種作業も見据え、安全確保の徹底や地元への丁寧な情報提供を求めた。
須田善明女川町長は町役場で報道陣の取材に応じ、「再稼働に向けた具体的なステージに入った」と神妙な顔つきで語った。「一つ一つのステップを着実に間違いなく踏むことが重要。現場や地域、あらゆる人を大事にして作業に臨んでもらいたい」と強調した。
村井嘉浩宮城県知事は談話を出し「燃料装荷と、その後に続く作業をこれまでにも増して厳格かつ慎重に進めてほしい」と要望。斎藤正美石巻市長は「女川原発の安全性向上と地域住民への丁寧な説明、情報発信を果たすよう求める」とコメントした。