女性のやせすぎ、男性のメタボに警鐘 新健康戦略

2007年04月19日07時02分

 政府の新健康フロンティア戦略賢人会議(座長・黒川清内閣特別顧問)は18日、国民の健康づくりの支援策などを定めた「新健康フロンティア戦略」をまとめた。女性の「やせすぎ」や男性のメタボリック症候群に警鐘を鳴らし、子どもの健康管理にも重点を置いた。ただ、これまで政府の戦略に盛り込まれていた数値目標は「根拠が薄い」として見送られた。

 「新戦略」は安倍首相が就任前から主導してきた健康づくり支援策の一環で、増大する国民医療費を抑制する狙いがある。具体的には「子ども」「女性」「メタボリック症候群」「介護予防」などのテーマに分類して対策を打ち出した。

 メタボリック症候群については、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)の患者数が50代から増加していることに着目、とくに中高年男性に焦点を当てる。内臓脂肪量や運動量のチェック、飲食店・社員食堂で栄養表示を普及させることなどを例示。働き盛りのころから食習慣を見直し、適度な運動を促している。

 また、女性の健康を社会全体で支える姿勢を鮮明にしているのも特徴だ。特にやせている10代後半の女性のうち4割がダイエットをしていることを踏まえ、過度なダイエットの危険性を啓発することに力を入れる。

 さらに子どもは「国の宝」として、産科・小児科医療の充実や、発達障害児の教育から就労、食育やスポーツを通じた体力の向上など、切れ目ない支援策を掲げた。

 こうした予防重視の健康づくりを国民運動として盛り上げていくため、著名人やボランティアらを「健康大使」に任命して広報に力を入れる方針も示している。

 「新戦略」の実施期間は16年度までの10年間で、今後は具体的な実施計画の策定を提言。「1歳6カ月児健診の受診率」や「乳がん検診の受診率」などの現状の数値を100として今後の推移をフォローする。

 一方、首相が自民党幹事長時代の04年にまとめ、政府の骨太の方針に盛り込まれた「健康フロンティア戦略」では、「がんの5年生存率を20%改善」など、05年からの10年間の数値目標を設定していた。だが、「新戦略」では医師ら有識者が「数値目標を設定しても根拠が希薄だ」とし反対し、数値化は見送られた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました