好みの味にカスタマイズ サントリー、新スタイル提案

びん、缶、ペットボトルの次は「drop(ドロップ)」-。エコ意識の高まりや節約志向などを背景に、マイボトルで飲料を楽しむ人が増えるなか、このほど清涼飲料メーカーのサントリー食品インターナショナルと大手魔法びんメーカーのサーモスが共同開発したマイボトルドリンク「drop」が発売された。密封型の濃縮飲料を専用マイボトルで味わうというこれまでにない飲用スタイルで新たな市場を開拓し、利用者の拡大を図る。
 dropは、サントリー食品が開発した「dropポーション」(1個90円)を、サーモスがdropを楽しむために開発したマイボトル(1980円)の中で開封し、水やお湯を加える。作りたてはもちろん、2~3時間たっても冷たさや熱さを保つことができ、香りや味わいを楽しむことができる。
 dropポーションは従来の缶やペットボトルでは使用するのが難しかった原材料を使用。香り豊かなコーヒーや深い味わいの緑茶、果実丸ごとの成分を凝縮したオレンジなど全12種類となっている。
 サントリー食品ブランド戦略部の吉川和秀課長は「今までは飲料メーカーが考えた味をいつでもどこでも味わってもらうという形だった。dropは温度と濃さをカスタマイズして楽しめ、自分の好みの味に仕上げることができるのが一番の新しさ」と話す。
 開発当初は「そこまでお客さんにまかせてしまっていいのか」と社内で不安視する声もあったという。だが、最近は料理や弁当を作る男性が増えるなど、幅広く自分でひと手間かけることを楽しむ人も増えてきたこともあり「従来の考え方にとらわれずに枠から離れて新しい味わいを追求し、新しいスタイルを提案しよう」と本格的に動き出した。
 吉川課長は「コーヒーだけでなくお茶も果汁もあるので好みの味を探して、好きな飲み方を見つけてもらえれば。香りと味わいの豊かさには自信がある。びん、缶、ペットボトルと並ぶような新しい選択肢になってほしい」と期待を込める。
 drop専用マイボトルについて、サーモスマーケティング室商品企画課の広瀬将人マネージャーは「今までの魔法びんの保冷・保温機能に加え、香りを楽しむことができる構造にした」と説明。「今までマイボトルを持ったことがない人も気軽に購入して体験してもらい、日常生活のなかで使っていく人が増えていけば」と話す。
 dropは今年の7月以降、コンビニエンスストア「セブンイレブン」の一部店舗でテスト販売されており、利用者からは「作り方がユニークで、ドロップを作る時間が楽しい」などと新しい飲用スタイルが受け入れられている。
 セブン&アイ広報センターの伊藤真由美さんは「飲み物を買う拠点としてコンビニのニーズは高い」とし、「新しい飲み方に加え、dropポーションが幅広いバリエーションを持っているので、マーケットや客層の拡大につなげていきたい」と語る。
 1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のセブンイレブン約5000店と「セブンネットショッピング」を通じてインターネットで販売中のdropが、今後全国的な広がりをみせ、飲料業界に新たな市場が生まれるのか注目される。

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