環境省の中央環境審議会は3日、温泉法で定められている注意書きや効能などの掲示内容を32年ぶりに改正し、入浴を避けるべきだとしていた項目から妊娠を削除した。
また、湯治による効用が期待できる症状として、睡眠障害など「ストレスによる諸症状」を新たに追加した。
温泉法では、温泉の効能や、温泉に入ることが健康上適さない禁忌症状などを掲示することが定められている。これまでは禁忌症として、悪性腫瘍や「妊娠中」などが盛り込まれていたが、中環審は同日、国内外の文献やデータを分析した結果、温泉への入浴や成分が妊婦の身体を通じて妊娠に影響する科学的な根拠がないとして、削除することを正式に決定した。
同様の指摘は以前から専門家から寄せられていたが、「これまで(禁忌症に)入っていた理由はわからない」(同省)。中環審委員の一人は「妊娠中は体を大事にしないといけないという考えから、なんとなく『避けるべきだ』となったのでは」と推測している。
一方、新たに温泉の効能が期待できる症状として、「ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態)」、「自律神経不安定症」などが追加された。