育児放棄や暴力・性的虐待など、わかりやすい“毒”を子どもに与える親のこと……だけではありません。過干渉、否定的、支配的など、子どもの人生に悪影響を与える親も毒親とされています。
後者になってくると、自分では気付かないうちに毒親になっているというパターンが多く、その子どもはいつのまにか精神的呪縛を受け、成長過程や人生に支障をきたすことになってしまいます。
そこで今回は、NPO法人ファザーリング・ジャパンの理事である村上誠さんに伺った、“毒親が言いがちなフレーズ”を3つご紹介します。
■1:「あなたのためを思って言っているの」
子どもが遊びに行こうとしているのをやめさせ、家で宿題をさせる。
「あなたのためを思って言っているの」、これ教育熱心なママほど、使ってしまう傾向にあります。
子どもには選択する権利があります。宿題は遊んだあとにしても構わないのです。また宿題をしなかった場合も、しなくて怒られるのは、失敗という経験になります。
それを「あなたのため」という言葉を用いて言うことを聞かせるのは、子ども自身が委縮し、反抗できないように縛っているのと同じです。
■2:「それは違うから、こうしなさい」
例えば子どもが、りんごに青のクレヨンで色を塗ったとします。その時に「りんごは青じゃないでしょ? ちゃんと赤で塗りなさい」と言って塗り直しをさせていませんか?
りんごを赤で塗らなければならないという決まりごとはありません。子どもの見えたものや感じたものを表現しているだけなのです。それを否定して、やり直しさせたり、親がやり直したりするのは、親の価値観の押し付けでしかありません。
■3:「あの子と付き合っちゃダメよ」
“成績が落ちたのはあの子と遊んでいたからだ……”と、子どものコミュニティを破壊するような言葉を発してはいないでしょうか?
子どもが作り上げた関係に親が介入すると子どもの世界が広がらず、また交友関係を作ることに自信をなくして、よい人間関係を築くことが難しくなってしまいます。
SNSの登場によって、親が子どもの行動を監視することも容易になりました。そこに一線引けるのは、ほかでもない親自身なのです。
いかがでしたでしょうか? 自分が子どもの頃に親に毒親のフレーズを言われ、嫌な思いをした経験がありながらも、知らず知らずのうちに、自分の子どもに同じフレーズを使ってしまっていることはありませんか?
すべてに共通するのは、親が子どもに干渉しすぎているということです。
子どものうちは少しくらいハメをはずさせる寛容さをもっていたいところ。子どもはそういう経験を通じて、社会で生きるための境界線を知るのです。大人になってハメをはずすと“犯罪者”になりかねません。
子どもは一つの人格です。“個”として関わっていくことが、子どもの“生きる力”に繋がるのではないでしょうか。
(ライター 沖田かへ)