子どもの声を「騒音」と感じるか否か。程度の差にもよるとはいえ、甲高い声に耐えられない、という人もいれば、「子どものやることだから……」と大目に見られる人もいるだろう。
Jタウン研究所では、子どもの声は「騒音」だと思うか、都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数1709票、2015年2月18日~4月22日)。
子どもの声は「騒音」と思うか?(Jタウンネット調べ)
「騒音だ」の占める率を、各県ごとに0~30%、31~50%、51~70%、71~100%と4段階に分け、比較を試みてみた。その結果を色分けすると、上のような日本地図になった。
色分けされた地図を見ると、「騒音だ」率が高い赤とオレンジの地域は全国に広がってはいるが、東北に赤が集中しているのが目立つ。また関東・甲信・東海の各県は一様にオレンジとなっている。一方、「騒音だ」率の低い白と黄色の分布の中では、大阪など近畿エリアが目立つと言えるかもしれない。
東京の「騒音だ」率は意外にも高かった
まず東京都を見てみよう。そのうち「騒音だ」は66%、「騒音ではない」は34%だった。「騒音だ」が「騒音ではない」の倍近くを占めている。もちろん全国平均より高い。「騒音だ」率は予想以上に高かったのだ。
東京都(Jタウンネット調べ)
4月1日から東京都で施行されている「都環境確保条例」だが、小学校就学前の子どもと、一緒にいる親や保育士たちの声、保育所や幼稚園、児童館、公園などで出る声や、足音、遊具、楽器などを「騒音」から除外したことで話題になった。
今後は、社会生活上の受忍限度を超えるかどうか、が条例違反の判断基準となるとのことだ。しかし6割以上の人が、子どもの声を「騒音だ」と思うと答えている現実はなかなか厳しい。社会生活上の受忍限度については、今後も議論が続くことになりそうだ。
「騒音だ」率の高い県のもう一つの例として、愛知県を挙げる。「騒音だ」は56.3%、「騒音ではない」は43.8%だった。静岡、三重など東海地区、千葉、神奈川など南関東地区も、同様の傾向が見られた。
愛知県(Jタウンネット調べ)
さて、「騒音だ」率のきわめて高い県の代表が、青森県だ。投票数が少なかったとはいえ、「騒音だ」は75%、「騒音ではない」はわずか25%だった。また秋田県85.7%、福島71.4%と、東北エリアの「騒音だ」率が高い。
青森県(Jタウンネット調べ)
たしかに東北を旅すると、シーンと静かな印象がある。人々も寡黙で口数が少ないような気がする。子どもの声を騒音と思う率が高いのは、そのせいだろうか。
近畿の「騒音だ」率が低いのは?
一方、ここで大阪府を見てみよう。「騒音だ」は48%、「騒音ではない」は52%だった。近畿の「騒音だ」率は、滋賀41.7%、京都38.9%、兵庫48.5%と、のきなみ5割を切っている。
大阪府(Jタウンネット調べ)
さらに、奈良県。「騒音だ」は16.7%、「騒音ではない」は83.3%だった。また和歌山県の「騒音だ」率は20%。近畿6府県の「騒音だ」率の低さは、パーフェクトだった。
奈良県(Jタウンネット調べ)
少なくとも大まかな傾向として、関東・東北に対し、近畿の方が子どもの声に対して「寛容」ということは言い得るようだ。しかし、その理由はどこにあるのだろうか。上記の東北の「静かさ」と比べると、近畿の街は「にぎやか」な印象が強い。このあたりが影響しているのでは、という仮説はとりあえず立てられる。だが、果たしてそれだけだろうか?
今後も引き続き調査してみたい。