1日から一部の自治体で支給が始まった子ども手当。子育て支援の一環として、歓迎する声がある一方で「本当に子供のために使われるのか」などの指摘も出ている。近畿各地で子供を持つ親25人に手当を何に使うのか聞いた。子供の教育費などに充てる計画にしていても「まずは貯蓄」との声が大半を占めた。
1歳の娘を持つ京都市中京区の団体職員の男性(29)は「銀行に専用の口座を作り、子供の将来のために貯金する。進学や結婚などで必要になったときに渡したい」という。
また、貯蓄に回すという滋賀県守山市のパート従業員の女性(48)は大学生と高校生、中学生の子供3人がいる。「手当をもらえるのは中学生の末っ子だけで、来年には卒業する。上の2人はこれから一番お金が必要。せめて高校までもらえれば」と話す。7歳の子供を持つ神戸市中央区の主婦(38)も貯蓄に。「夫のボーナスの減収が激しく、貯金がまったくできない。子供の教育に役立つものであっても使う気になれない」と悲痛な訴え。
和歌山県新宮市の公務員の男性(39)も「とりあえず貯金」だが、「来年以降も果たして継続できるのだろうか」と不安を抱く。
子供の塾費用にするという大阪府岸和田市の男性会社員(42)は「周りの子供たちは塾でも勉強するのが普通になっている」と話した。3人の子供がいる奈良県橿原市の公務員の男性(45)も「3人とも塾に通ったり、ピアノやスイミングを習ったりしているので、役立てたい」という。
大阪府吹田市の主婦(41)は「旅行などに連れて行きたい気持ちもあるが、とりあえずは生活費に消える。もちろん、子供に『子ども手当』の事は話しません」。
すでに手当を見込んで買い物をした人も。奈良市の牧師の男性(29)は「次男用のベビーカーを新調した」という。
また、2人の娘の将来のため貯金に回す予定の京都市上京区の大学職員の男性(38)は「集めた税金をただ返しているようだ。もっと効率的な税金の使い方も考えてほしい」と政府に注文をつけた。
一方、具体的な使い道を決めていないという声もある。京都市西京区のNPO代表の女性(40)は「子供としっかり相談したいのでまだ決めていない。女性が子育てをしながらでも働きやすい環境を整備していくことに税金を使うのが先ではないか」と話していた。
内閣府が4月に公表したインターネット調査や民間企業の調査でも使い道のトップは「貯蓄」。
経済評論家の勝間和代さん(41)は「子育てのためには、教育費があまりかからず、安心して働ける環境が必要」と指摘。「親の働き口と子供の預け先が確保できるよう、非正規労働者への就職支援や長時間労働の抑制、保育所整備などに財源を充てるべきだ」としている。