こども家庭庁は来年度にも、共働き家庭などの小学生を預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)の登録条件を厳しくする方針を固めた。学童保育の6割は、登録者の2割以上に利用実態がないという調査結果もある。「週3日以上の利用」など条件を厳格化することで、待機児童はほぼ解消される見込みという。
学童保育は、登録者を利用者として計算している。今年5月時点の利用者は、151万5205人に達した。待機児童は過去最多の1万8462人に上る。
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国の2020年度の実態調査では、ほぼ未利用の登録者が定員の2割以上だった施設が、全体の6割を占めた。夏休みだけのために登録している例もあり、連日利用したい人が待機児童になる事態が生じていた。
学童保育の登録条件は、自治体ごとに定める。共働きで放課後に子どもの面倒を見られなければ、登録を認めているのが一般的だ。「週3日以上の利用」など制限を設けている自治体は一部にとどまる。
同庁は早ければ来年度から、こうした登録制限を全国に広げる。これにより、都市部などを除き、待機児童のほとんどは、受け入れが可能になるとみている。
「共働き・共育て」社会へ本腰
こども家庭庁が学童保育の登録制限に乗り出すのは、利用希望者の増加が想定を大きく上回り、待機児童を解消できる見込みが立たなくなったためだ。
同庁は元々、定員を今年度末までに152万人に増やすことで、待機児童を解消できると見込んでいた。だが、コロナ禍が終わり、5月時点での利用者は151万人余りで、待機児童も約1万8000人に上る。
政府は少子化対策に「共働き・共育て」を掲げる。放課後を任せられる学童保育の待機児童を解消できなければ、「絵に描いた餅」になりかねず、登録制限に乗り出す必要に迫られた。
制度を適正化し、利用が必要な人に枠が行き渡るようにするため、同庁は登録時に「週3日以上の利用」といった条件を設けることを想定している。自治体がこうした対応を取らない場合は、補助金を一部出さないことも検討している。
課題になるのは、実効性をどう確保していくかだ。本当に利用が必要な児童が使えるようにするには、登録条件を満たさない利用者を退会させるなどの措置を講じる必要がある。
自治体が制度を円滑に運用するためにも、同庁は具体的な対応方法を検討し、示していく必要がある。(社会部 山下真範)