政府は2024年度、宇宙関連の民間企業や大学に助成するための資金として、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))に100億円程度を補助する方針を固めた。さらに、大規模かつ長期的な資金を供給できるようJAXA法の改正も目指す。急速な拡大が期待されている宇宙ビジネスを国内で活性化させることが狙いだ。 【動画】「H2A」47号機が発射地点へ…強風で打ち上げは中止
内閣府と文部科学、経済産業、総務の各省が連携して、24年度予算案に盛り込む見込み。宇宙関連技術に精通しているJAXAが、4府省から得た100億円程度の補助を原資として、人工衛星やロケット、月探査の先端技術開発などを手掛ける企業・大学に資金を供給する。米航空宇宙局(NASA)など欧米の宇宙開発機関には、企業や大学への資金供給機能があり、政府はJAXAにも同じ役割を持たせたい考えだ。
政府は今年度にも技術開発の優先順位を明確にする「宇宙技術戦略」を策定することにしており、JAXAは同戦略を基に資金供給先を判断する。
一方、政府関係者によると、政府は民間企業などに長期的に大規模な資金支援ができるよう、JAXA設置の根拠となっているJAXA法に基金を設置する規定を加える方針だ。秋の臨時国会に、同法改正案の提出を検討している。
JAXAはこれまでも民間企業2社に出資してきたが、出資規模はJAXAが知的財産などで得た自己収入の範囲に制限され、1社あたりの出資額は数千万円にとどまっていた。自民党は3月に「10年で1兆円の基金を設置すべきだ」との提言をまとめている。
宇宙関連市場を巡っては、多数の小型衛星を群れのように連携させて運用するシステム「衛星コンステレーション」など、宇宙空間の利用が広がっている。米国では、NASAなどの支援で宇宙企業スペースXを中心に新興企業が台頭。世界の宇宙関連ビジネスの市場規模は40年までに100兆円以上に成長するという米金融大手の予測もある。
日本政府は6月に閣議決定した宇宙基本計画で、国内市場を30年代に現在の2倍となる8兆円に拡大させる目標を掲げた。